シャムのサウンドを支えるデイヴ・ケリーって誰?
世界中のプロデュサーを集めてもNo.5に入るであろう天才。兄弟のトニー・ケリーと共にタフ・ゴングでキャリアをスタートさせて、のちにペントハウスへ。ウェイン・ワンダーやブジュ・バントンなどが成功したのは、デイヴ・ケリーのおかげともいえる。80年代後期から他のレーベルでもヒット曲を手掛けるようになり、彼の斬新なサウンドがジャミーズやデジタルBによるベース主導/うねり重視の流行に終止符を打ったといっても過言ではない。〈Big It Up〉あたりから現在まで連なるパーカッシヴな音作り。そして、1つ1つの音に独特の音色やヴォリューム感があってメチャクチャ踊れる。94年の〈Pepper Seed〉の大ヒットからはジャマイカでも別格の存在に。アフロなポリリズムや他のカリブ音楽の要素を採り込むなど、多彩なアイデアであっと驚くリズムを作り続けているのだ。
さらにリメイクのセンスも抜群。原作に忠実なものではなく、まったく別物の最新型に仕上げるその腕前は意外に知られていないかも。だって元ネタを言われなきゃ、リメイクだとは気付かない独創的なものばかりだから。93年作〈Full Up〉のかっこよさ。ビーニ・マン“Dude”で使われた〈Fiesta〉の元は〈Punanny〉だし、シャム“Ghetto Story”の〈Eighty Five〉はあの〈Sleng Teng〉。他にもあるけど、気付きにくいかもね。ここまでできるのも彼くらいだから。90年代中盤に独立。現在いちばん力を入れているアーティストは、もちろんシャム!
▼文中に登場したアーティストの作品を紹介
ブジュ・バントンの92年作『Mr. Mention』(Penthouse/VP)
ウェイン・ワンダーの91年作『Wayne Wonder』(Penthouse/VP)
ベイビー・シャムの2000年作『Wow...The Story』(Artists Only!)
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