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カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2006年09月07日 12:00

更新: 2006年09月21日 21:36

ソース: 『bounce』 279号(2006/8/25)

ヒットする曲を書こうとは意識してないよ

 「意図的にコマーシャルな曲を書かなくても、いい曲を書けば自然にそれがコマーシャルになるんだ。だからヒットする曲を書こうとは意識しない。いい音楽を作ることだけに集中しているんだ。アルバムが何枚ヒットしようと、メジャーから出そうと、このスタイルは絶対に変わることはないよ。クリエイティヴ・コントロールは100%俺たちが握っているんだ。契約をする時にもそれは絶対条件だって言ったんだよ。レコード会社に口出しをさせないようにね。アーティストからクリエイティヴ・コントロール、つまり〈アート〉を取ったら何が残る? 何も残らないだろ」。

 なんと頼もしい。こんな発言を聞くと胸がスッとするね。あたりまえのことがあたりまえに通らない音楽業界で、サヴァイヴし続けている彼のこの心意気。音楽に説得力があるのも当然か。しかもそのDJは、まさに彼オリジナル。過去から現在までのジャマイカンDJにも、アメリカのラッパーにもいない独創的なスタイルだ。そんなシャムが影響を受けたアーティストというと誰になるのだろうか。

「まずはボブ・マーリーだね。ダンスホールをみんなにわかってもらえるように、ずっと英語で作りたいと思っていたんだ。パトワで作ったらジャマイカでしかわかってもらえないからね。ボブ・マーリーがパトワで歌っているのなんて聴いたことがないだろ? 彼はちゃんとわかっていたんだ。だからみんなにわかる言葉で曲作りをするというのを、自分のフォーミュラにしたかった。次に影響を受けたのは、俺が育つ過程で聴いてきたもの。例えばシャバ(・ランクス)やスーパー・キャット。それからホイットニー・ヒューストンもね。インスピレーションのある音楽はなんでも吸収したよ」。

 本作収録曲はハイブリッドな要素が散りばめられた多彩なもの。ヒップホップに接近した音作りの曲もある。本人いわく、「俺はどんなトラックでも俺のスタイルでやる。2つの音楽が1つになるというだけのこと」とジャマイカンらしい単刀直入な返答。そう、音楽は理屈じゃないからね。浴びるように『Ghetto Story』を聴いて体験するしかないでしょ。もう私は聴きまくっているけど、聴けば聴くほど燃えるアルバムです。

〈P.S.〉アリシア・キーズと共にジャマイカで撮ったプロモ・クリップは現時点では未見だが、とっても楽しみだ。皆さんも要チェックね!

▼『Ghetto Story』に参加したアーティストの作品を紹介。

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