再評価が進むオールド・スクール・サウンド
90年代以降のニューオーリンズ・サウンドを語るうえで外せないのが、60~70年代の同地で山のように生まれたソウル~ファンク音源への再評価である。もっともそれはニューオーリンズにこだわったものではなく、ディープ・ファンク系のDJ/コレクターが全米各地の7インチ盤を掘りまくる動きの一環だったのだが、それをきっかけに〈Funky Funky New Orleans〉シリーズなどの優れたコンピが編まれ、ミーターズらの影で消えていった面々の凄さが証明されたのは確かだ。その後、ニューオーリンズの音楽が顧みられる動きに拍車を掛けたのがハリケーンだったのは皮肉ながら……昨年には丁寧なコンパイルで知られるグレイプヴァインがソウル系のコンピを編纂。その流れは今年も続き、透け乳首ジャケで名高いチョコレート・ミルクの名作『Action Speaks Louder Than Words』がリイシューされたのをはじめ、アーマ・トーマスの70年代音源やアラン・トゥーサンのリプライズ・デビュー作も、改めて手軽に入手できるようになった。この動きのさらなる活性化を望みたい。
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