世界に広がったニューオーリンズ・ヴァイブ(2)
LITTLE FEAT
『Dixie Chicken』 Warner Bros.(1973)
ザ・バンドの諸作同様、ロック・バンドの〈ニューオーリンズ詣で〉を象徴するのが今作。タイトル曲に顕著なニューオーリンズ・ファンクへの接近は、彼らにこの代表作をもたらした。トゥーサン作“On Your Way Down”のカヴァーも収録し、粘っこいファンクネスが全編に張り付く傑作だ。
(大石)
ROBERT PALMER
『Sneakin' Sally Through The Alley』 Island(1974)
ヴィネガー・ジョー解散後、ソロ作のためにNYで録音を始めたものの、それだけでは飽き足らなくなってニューオーリンズへ飛んだ彼。そして生まれたのがこの名作だ。トゥーサンやローウェル・ジョージのサポートを経て、ファンキー・センス剥き出しとなったヴォーカルが渋く光る。
(桑原)
LABELLE
『Nightbirds』 Epic(1974)
P27に掲載のサントラ『Moulin Rouge』にてクリスティーナ・アギレラらが歌っている“Lady Marmalade”のオリジナルは、トゥーサンがプロデュースした本作からの大ヒット曲だ。クレジットはないが、ロッキッシュで煌びやかな突貫ファンクを導くのはもちろん(ジョー・モデリステを除く)ミーターズ!!
(出嶌)
MIGHTY DIAMONDS
『Ice On Fire』 Virgin Frontline(1977)
ジャマイカ屈指のヴォーカル・グループとして傑作を残してきた3人組が、トゥーサンをプロデューサーに迎えて制作した異色作。本場NOで録音を行い、ソウル色の濃い彼らの歌声を朗らかにコーティング。英ヴァージンらしい企画盤だが、結果としてユニークな汎カリブ盤となっている。
(大石)
PAUL SIMON
『There Goes Rhymin' Simon』 Warner Bros.(1973)
異境音楽を掘りまくっていた頃のポール作品はどれも興味深いが、今作ではトゥーサンがホーンをアレンジした“Tenderness”、ブラス・バンドをフィーチャーした“Take Me To The Mardi Gras”などでNO音楽に接近。ディキシー・ハミングバーズのコーラス曲も独特だ。
(出嶌)
KING BISCUIT BOY
『King Biscuit Boy』 Epic(1974)
プロデュースはトゥーサン、バックはミーターズ。多くの傑作を残したこのコンビだが、カナダのハーモニカ奏者による今作も傑作の誉れ高き一枚だ。ジンワリと染み出すファンク感覚がブルージーなハープと響き合うあたりなど、クラクラするほどに美味。ドクター・ジョンの参加も見逃せない。
(大石)
CONJURE
『Music For The Texts Of Ishmael Reed』 American Clave(1984)
作家・詩人イシュメル・リードのテキストに、オル・ダラやタジ・マハールらがアフロ・カリビアン的なサウンドを付ける……というプロジェクトだが、キモとなっているのはトゥーサンの味わい深いピアノ。NOサウンドの根っこを覗き見るような刺激に溢れた作品だ。
(大石)
ALBERT KING
『New Orleans Heat』 Tomato(1978)
ブルーズン・ソウルの王様によるニューオーリンズ録音の名作。トゥーサンが全面プロデュースを手掛け、レオ・ノセンテリら元ミーターズの面々がバックを担い、渋味たっぷりな主役の歌をドス黒い明朗グルーヴで堅守。ジワッと脂汗が浮いてくるようなジャケそのままの熱気が渦巻く一枚だ。
(出嶌)
THE BAND
『Cahoots』 Capitol(1971)
アメリカ音楽のルーツを辿りつつ、深南部への旅を敢行したザ・バンドが本作で立ち寄ったのはニューオーリンズ。冒頭曲にてアラン・トゥーサンとの対面が実現しているのだが、華やかに広がるホーンのサウンドといっそうリズミックになった演奏は多くのロック・ファンを興奮させることに。
(桑原)
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