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特集

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2006年08月10日 21:00

更新: 2006年08月10日 23:05

文/出嶌 孝次、池田 貴洋、狛犬、高橋 荒太郎、Masso 187um

ウェッサイ・シーンの現状、そしてその発展を担うアーティストたちを一挙紹介!

 西海岸のGな連中が曲中で何度となく叫ぶ〈ウェッサイ~〉という掛け声、つまりは〈Westside〉ということだが、そもそも“I Used To Love H.E.R.”を発表したコモンのような面々が西海岸を見下す風潮に対して、アイス・キューブ~ウェストサイド・コネクションらが偽悪的に西海岸をレペゼンしてみせたのが始まりである。なお、件の“I Used To Love H.E.R.”は〈LAに行ってビッチになった昔の女〉に準えてヒップホップの現状を憂えたもので、日本でも多くのイーストコースト原理主義者が溜飲を下げたと思しき曲だが、実際はそんな単純な話ではない。〈グッド・ミュージックの極み〉などと絶賛を浴びたナズの『Illmatic』はリリックを普通に聴けばやたらGな内容だし、そもそも最初のギャングスタ・ラップがブギー・ダウン・プロダクションズの“9mm Goes Bang”なのは定説だったりする。かつて〈NYならリアリティ・ラップと呼ばれるのに、同じリリックでもLAならギャングスタ・ラップと呼ばれるのは何故なんだ?〉と憤っていた西のラッパーは大勢いたが、それは〈ヒップホップ発祥の地であるNY~東海岸のもの〉しか認めないという偏狭な意識の現れにすぎなかったのだ。いまだに偏見も存在するとはいえ、そういう段階を経た現在、極太で重たいファンクやとことんレイドバックしたスムース・チューンなど、ウェッサイならではの魅力を突き詰めたサウンドが〈グッド・ミュージック〉として親しまれるようになってきたのである。

 ただ、ギャングスタの掟をビジネスに持ち込んで急成長と落日を経験したデス・ロウ、そしてそこで自身のアティテュードに殺される結果となった2パックのような例もあったし、ウェッサイのアーティスト間でギスギスした諍いが絶えない時期もあったのは事実だ。が、〈サウス勢の成功に学ぼう〉と団結を呼びかけたスヌープ・ドッグによって2005年には〈Protect The West〉なるプロジェクトが立ち上がり、ダズとコラプトがふたたび手を組んだように、これまでバラバラだったアーティスト同士の間にも連帯意識が生まれはじめている。下のディスクガイドを見ればわかるように、中堅から若手までラッパーの層も厚くなってきた。この後にはスヌープ、WC、リル・イージー・E、そしてゲームといった大物たちのニュー・アルバムも控えている。ウェッサイがふたたびギアをトップに入れる時が来たのだ。(出嶌孝次)

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