Just Doggin'
奴らがいればウェッサイの未来は安泰だ!! 荒ぶる西の番犬、ドッグ・パウンドが帰ってきたぜ!!
「これはドッグ・パウンドの正式リユニオン・アルバムなんだ。オレたちはずっとファミリーだから、リユニオンといってもオレたち自身は一度も解散した覚えがないし、変わっていないんだけどな。ただ、ひとりひとりがいろんなプロジェクトをやったりしたことでさらに進歩して、それぞれの個性が強くなってきた感じなんだ。だから、今回のアルバムにしてもずっとやりたかったことだし、自然にこういう形になったのさ」(コラプト)。
まさしくコラプトの語るとおりだ。ドッグ・パウンド名義のオリジナル・アルバムとしては『Dogg Food』以来実に11年ぶりとなった『Cali Iz Active』だが、名義こそ異なれど、彼らは気の向くままに集まっては作品をコンスタントにリリースしていた。彼ら、とはすなわち本作の主役であるスヌープ、ダズ、コラプトの3人。ここで、ドッグ・パウンドにスヌープも加入したの?と思う方もいるだろう。が、もともとドッグ・パウンドはスヌープの率いるクルーの総称(初期はドッグ・パウンド・ギャングスタズと名乗っていたことも)としてスタートしただけに、何らおかしな話ではないのだ。
「スヌープがドッグ・パウンドの親分だし、彼にとってこのプロジェクトは自分の子供みたいなもんだ。だから全面的に参加してるし、すごく力を入れた作品なんだ。DPG名義でやる時のアンカットでロウな感じに比べてもっと一般受けすると思うし、スヌープ色が強いのさ」(コラプト)。
そう、DPGとはディリンジャー&ヤング・ゴッティ、つまりダズとコラプトのことなのだと解釈できるわけで、やはりドッグ・パウンドという名称はもっと広義な意味で使用されているのだろう。ここで古くからのファンには気にかかる点があるはずだ。当初はドッグ・パウンドという名称の権利を古巣のデス・ロウが所有していたから、代わりにDPG名義を使ってたんでは?
「いまドッグ・パウンドという名前はダズが所有してるから問題ない。ただ、昔の音源はシュグ・ナイトが持ってるんだ」(コラプト)。
「古いマスターは俺たちがそのうち買い戻してやる。カネで解決だ(笑)」(ダズ)。
先にコラプト自身が述べたように、この『Cali Iz Active』はスヌープ色を強く感じさせる。DPG名義のアルバムに比べるとサウンドの幅は広く、参加しているアーティスト、プロデューサーも多岐に渡っている。オフィシャルで先行カットされたシングル“Sittin On 23z”は、いまや絶好調なスウィズ・ビーツの手によるものだ。
「シングルは2枚同時に出した。スウィズのこの曲とバトルキャットのプロデュースした“Cali Iz Active”さ。イーストコーストとウェストコーストの両方を押さえたかったからね。スウィズとやった曲の〈23z〉ってのはウェストコーストで流行ってるリムのことさ。もう22インチは古いんだ。いまは23インチだぜ。クルマ文化、ウェストコーストのことをイーストコースト製ビーツでラップしてるんだ。すげえだろ?」(コラプト)。
そのスウィズ以外にもジャジー・フェイ、ションドレー、ライアン・レスリーといった他の地区から旬なプロデューサーが参加している。
「各地区のベストなプロデューサーを起用したかったからさ。パフィ(ディディ)もクラシックな曲をやってくれたし、ラップもしてくれたよ。彼らが自分たちの地元をレペゼンしているという事実以外にも、俺たちは奴らの音楽が好きなんだ。NYだったら誰がいる? 当然パフィだろ。だから彼とフックアップしたのさ」(コラプト)。
各地区と述べているが、ダズがジャーメイン・デュプリ率いるソー・ソー・デフとソロ契約したから、というわけではないのだろう、そのジャジー・フェイ、ションドレーだけでなく、デヴィッド・バナーやポール・ウォールら南部アクトが多く名を連ねているのは気になるトピックだ。
「俺たち、昔はそういうこと知らなかったんだ。ウェストの奴らとばかりやってたけど、それだけじゃダメだってスヌープが教えてくれて、とにかくいろんなところのベストの連中とやってみようって思ったんだ。みんな、すげえ才能の固まりだよ。そういう奴らとコラボすることで、さらに俺たちの良さをわかってもらおうってわけさ。お互いに良いところを強調できる、そういうアーティストと組んでやりたかったんだ。いまは昔とは違ってどこのフッドにも代表的なアーティストがいる。良いことだよ。だけど、カリ(フォルニア)だって負けちゃいねぇぜ。俺たちドッグ・パウンドがいる限り、カリは安泰なのさ!」(コラプト)。
コラプトが語るとおり、南部の勢いに負けじと彼らはハッスルし続けており、コラプトは本作と同時期にソロ作『Same Day Different Shit』もリリース。ダズもソー・ソー・デフからのソロ作『So So Gangsta』を仕込んでいるはずだ。よく考えれば、DPG名義の『Dillinger & Young Gotti II: Tha Saga Continuez...』も昨年末の話……〈Cali Iz Active〉をまさに地で行く、この創作意欲はいったいどこからくるのだろう?
「これまでに何度も苦しい時期があったけど、俺たちは常に曲を作ってるし、ノンストップだ。長い年月を経て、俺たちの音楽がちゃんと生き残っているという証があるからこうしてずっとやっていけるんだ。とにかくやりたいことが次々に出てきて、休んでるヒマなんかねえよ」(コラプト)。
「そう、コラプトはギャングスタだからじっとしてる時なんかないんだ。そういうハイプなところが良いのさ。音楽作りにしても意欲的だし、俺たちが長年いっしょにやってこられたのも、コイツのそういう性格のおかげだね」(ダズ)。
それでは最後に各々の相棒について語ってもらおう。
「コラプトはすげえエネルギッシュだな。ずっといっしょにやってるけどヤツは音楽に対して超マジだし、口だけの人間とは違ってちゃんと実行する。一瞬たりとも休まねぇ、超ギャングスタなんだ」(ダズ)。
「ダズの凄いところは、次に何が飛び出すか予測できないところ。特にクリエイティヴィティーに関して、いつも新鮮な音を作ってるし、何に対しても抵抗を持たずにオープンなんだ。昔からそうだし、だから俺はダズがいてくれさえすればピークを保てると思ってる。ダズはいつもうまいメシ(ビーツのこと)を食わせてくれるのさ。だから、ホラ、体重も増えたし(実際にはちっとも増えていない)。俺、ガキが5人もいるんだぜ」(コラプト)。
「俺は7人もいるぜ。みんなを食わせていくのは大変なんだ。だからずっと音楽を作り続けてるのさ(笑)」(ダズ)。
▼ドッグ・パウンドのアルバムを紹介
▼『Cali Iz Active』に参加したDPG構成員の作品を紹介
レディ・オブ・レイジの97年作『Necessary Roughness』(Death Row)
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