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特集

TV ON THE RADIO(2)

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2006年07月13日 11:00

更新: 2006年07月13日 20:12

ソース: 『bounce』 277号(2006/6/25)

文/村尾 泰郎

いちばん大切なのは5人の絆

 ファースト・アルバムをリリースしたあと、ジェラード・スミス(ベース/キーボード)、ジェリール・バントン(ドラム)が加入。5人編成となったことで、前作とは比べものにならないほどのダイナミックなバンド・アンサンブルを手に入れた。

「基本的にはみんなで曲のラフなアイデアを持ち寄って、それをスタジオでまったく別のものに変えたり、編集したりするんだ。たいていキップかトゥンデあたりが曲のアイデアを持ってきて、俺とジェラードとジェリールが手を加え、さらにそれを改良していくって感じかな。“I Was Lover”みたいにその場で出来た曲もあるけどね。バンド・メンバーは絶対ウマが合うとは思えないほどバラバラな性格なんだけど、不思議とうまくいってるんだ。5人全員が楽観的だからかもしれないな。でもこのバンドでいちばん大切なのは、この5人の絆なんだ」。

 2005年の〈サマソニ〉では、5人編成で来日。客席に背を向けて狂ったようにギターを掻き鳴らしたかと思えば、ヒューマン・ビートボックスまで飛び出して、ライヴ・バンドとしての力量と一体感を見せつける素晴らしいパフォーマンスを披露してくれた。黒人4人+白人ひとり(デヴィッド)という構成のユニークさは、後から付いてきたオマケみたいなもの。まずなにより、この5つの強烈な個性が磁力のように引き合ったことが、TVOTRに美しい混沌をもたらしているのだ。

「俺たちはバカバカしいくらい、なんでも聴くんだ。鳥のさえずりや瞑想音楽なんかもね。俺たちは常に何か新しいものを探している。新しいものやこれまでと違ったことを試すために、このバンドをやってるんだよ。アイデアの源は、マリファナに、カフェインに……(笑)。俺たちのサウンドが混沌としているのは、俺たちの生活そのものが混沌としているからだと思う。人間という種族自体がそうだ。もちろん、キミもね。俺たちはあらゆるものから影響されていて、音楽と生活を切り離すことはできないのさ」。

 そして、ブルックリンという街も、彼らのサウンドのDNAに組み込まれたエッセンスのひとつだ。デヴィッドはヤー・ヤー・ヤーズのデビュー・アルバム『Fever To Hell』のプロデュースを手掛けているが、彼らのほかにも、ライアーズやアニマル・コレクティヴとも交流が深い。

「ブルックリンでは世界中のミュージシャンと接することができる。いつだってクリエイティヴな人たちで溢れ返っていて、常におもしろいものが生まれてきてるんだ。ただ俺はほとんどスタジオから出ないから、実際のところはよくわからないんだけどね(笑)」。

 そんなスタジオのマッド・サイエンティスト=デヴィッドから見たTVOTRは、「才能溢れた子供が、大人のふりをしている集団」とのこと。その5人の才能溢れる子供たちがブルックリンに描いた壮大な落書き=『Return To Cookie Mountain』は、ナスカの地上絵のようにミステリアスなファンタジーだ。宇宙のみなさん、これが最新型のロックンロールです。

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