ニューオーリンズの大地に育まれた超スタンダード盤を紹介!(2)
ニューオーリンズの大地に育まれた超スタンダード盤を紹介! その2
THE GATURS FEATURING WILLIE TEE
『Wasted』 Funky Delicacies
ディディがネタ使いした“Concentrate”でも知られるゲイターズは、名ピアニストのウィリー・ティーを擁したファンク野郎ども。70年録音のレア曲を集めたこの編集盤では、NO色よりもレア・グルーヴっぽい足回りのインストがクール! 歌モノは逆に濃い口で、テンプテーションズのカヴァーも披露。(出嶌)
GUITAR SLIM
『Sufferin' Mind』 Specialty
51年に初録音、59年に逝去……50年代をピンクのスーツ(!)でまさに駆け抜けた異才ギタリストだ。スペシャルティ音源をまとめたこの編集盤には、レイ・チャールズが参加した代表曲“The Things That I Used To Do”など、奇妙にネジれたスリム独自のブルース表現がパックされている。(大石)
HUEY "PIANO" SMITH
『Best New Orleans Masters』 Pヴァイン
青い空めがけてカキーンと飛んでいく朗らかなノヴェルティーR&Bが満載。ニューオーリンズ・ピアニストでいちばんのご陽気者といえばこの方。ハイテンションはマルディグラ気分の表れ、聴き手の調子なぞお構いなしにグイグイ引きずり込もうとするヴァイタリティー溢れる演奏に脱帽。(桑原)
IRMA THOMAS
『Time Is On My Side』 Kent
ローリング・ストーンズらがカヴァーした“Time Is On My Side”やオーティス・レディングもついパクッた“Ruler Of My Heart”などで知られるNOソウルの女王。これは62~66年にミニットやインペリアルに残した音源から成る編集盤。粋でディープなノドを味わったら、P82で紹介している新作も聴いてね。(出嶌)
JAMES BOOKER
『Junco Partner』 Hannibal/Rykodisc(1976)
ニューオーリンズ音楽界が輩出した天才プレイヤーのひとり。ブルースやR&Bに、ポップスやクラシックなんかも呑み込んで、無造作にペッと吐き出したサウンドの凄み。そしてハイ・レヴェルなインプロヴィゼーション。同業者たちを唸らせるに十分な音楽性を持ったプレイヤーであった。(桑原)
JELLY ROLL MORTON
『Jazz King Of New Orleans』 BMG JAPAN
もしもジャズの教科書があったなら……最初の1ページ目に間違いなくその名が記されるであろうピアニスト(1890年生まれ)。クレオール系として生まれ、ピンプ稼業にも従事していたという人物だ。ジャズ、ラグタイムのもっとも原初的な姿が詰まった今作も必聴。(大石)
JOHNNY ADAMS
『Heart & Soul』 SSS/Vampisoul(1969)
ゴスペル・グループでの活動を経て、59年にソロ・デビュー。そんなルーツを窺わせる太い歌声が〈黒いカナリア〉と讃えられたシンガーだ。69年にヒットした鳥肌モノの名カントリー・バラード“Release Me”を収録した今作は、その濃厚な歌声に悶絶必至の代表作です。(大石)
LEE DORSEY
『Yes We Can + Night People』 Raven
この2in1をはじめ、ニューオーリンズR&B界を代表するシンガー、リー・ドーシーとトゥーサンが手を組んだ時期の楽曲には、どれもニューオーリンズ音楽的流儀といったものが明確に表れている。ユルさとタイトさの絶妙な絡み合い、そこから生まれるユーモアと哀愁。ジーンときちまう。(桑原)
LOUIS PRIMA
『Capitol Collectors Series』 Capitol
後のスウィング・リヴァイヴァルの流れでも再評価されたイタリア系エンターテイナーで、“Sing Sing Sing”といったスタンダードの作者としても有名なルイ・プリマ。スウィング~ジャンプ・ブルースをワルでオシャレでクールに演じてみせるその佇まいは、なんとも粋!(大石)