Keison(2)
天から降ってくるんです
「最初はミニ・アルバムとDVDを作ろうと思ってて、〈すでに3曲出来ているから残り3曲作ればミニ・アルバムになるな〉と思っていたら、珍しく曲がけっこー書けて(笑)。それで8曲になったから、ミニ・アルバムがアルバムになって……」。
2005年の『BOTTLE』から彼にしてはハイペースでのリリースとなったニュー・アルバム『漂流』の経緯からしてこんな感じ。繰り返しになるけども、彼は四角い答えをまるでしない(笑)。だって、いちばん多く出てきた言葉は「呑んで、歌って」だもの。それをポイント、ポイントで補ってくれたのが、Keisonの所属するレーベル=Tuff Beatsの担当ディレクター(感謝!)。以下はそのディレクター氏が語ってくれた素敵なレコーディング時のエピソードだ。
「(前作に引き続き、今作のプロデューサーを手掛けた)パードン木村さんが所有している戦前の家屋を改造したスタジオは、屋根の部分がトタンになっていて、雨が降ってくると音が凄いんですけど、その下でKeisonとパードンさんの2人が〈雨が降ってくれて良かったね〉って言いながら平気で歌入れしちゃうんですよね。こっちは〈音が入るのでは?〉と心配なんだけど(笑)。〈もし雨の音が耳障りだったら後で除けばいいよ〉って感じなんですよ」。
そんな話からふと浮かぶことは、人も自然の一部であるというあたりまえの摂理。Keisonが、音楽やボード(サーフィンだったり、スケートボードだったり)で表現し続けるものの本質も、そんな感じではないだろうか?
レコーディング時のエピソード2(こちらも担当ディレクター談)。
「あんまりたくさんのマイクロフォンは立てないで、Keisonはリハーサルのつもりで音録りをしていたんですけど、それが後になって〈実は本チャンです〉と(笑)。本人は〈え?〉って感じでしたね」。
では、Keisonの発言に戻って、歌詞作りに関する話を。
「歌詞は最後まで書けてなくて……でも、ギリギリになると天から降ってくるんです。その降りてきたものをキャッチするっていうか」。
すべての曲がそうなのかどうか?という細かい説明は(例によって?)なし。想像を逞しくすると、〈キャッチ・ザ・ウェイヴ~波が来たらそれを掴まえるだけ〉という波乗りと、とても近い感覚なのかな?とも思う。すべてに矛盾なし。つじつまがあってます。彼はそんな自然児なんです。