健康ブームを先取りしたストーンズのフィジカル・トレーニング!
不健康まっしぐらだったストーンズの面々は、80年代に突入すると健康を意識するようになった。例えばミックは毎朝10kmのジョギングを欠かさないし(初来日公演の際も皇居周辺を走ったのだとか)、キースはドラッグを抜くためにスイスで全身の血を入れ替え(真偽は不明)、ビルはワイフを頻繁に入れ替えることでホルモンの活性化を促進。そして、スタジアム級の会場でステージ上を所狭しと走り始めたのである。いまではあらゆるバンドがあたりまえのように行っているこのパフォーマンスだが、実はストーンズがオリジナル! そんな彼らのヘルシー志向はのちに巻き起こる〈健康ブーム〉の先駆けとなり、音楽シーンにおいてもルー・リードがテニスとキャロット・ジュースにハマるほか、細身だったブルース・スプリグスティーンもマッチョ男へと路線変更。そしてエアロビのプロモ・クリップも強烈なオリヴィア・ニュートンジョンの“Phy sical”が大流行し、ヒッピーはたちまちヤッピーになったのである。
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