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特集

〈ブルース〉を感じるさまざまな音楽を吸収していった、若かりし日々の不良ども

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2006年04月13日 12:00

更新: 2006年04月13日 20:08

ソース: 『bounce』 274号(2006/3/25)

文/鈴木 智彦

 海の向こう、アメリカから聴こえてくるエモーショナルでヒップな音楽の数々に強くインスパイアされ、それを教えにみずからの音楽を徐々に熟成させていった60年代のストーンズ。そんな彼らが当時もっとも影響を受けていたのがブルースだ。その影響力の一番手と言えば、何はさておき“Rolling Stone”という曲名からバンド名を拝借した経緯もあるマディ・ウォーターズを挙げるべきだろう。ミシシッピ・デルタ・ブルースの伝統を引き継ぎながらバンド・スタイルのエレクトリック・ブルースを創造してみせた巨人であり、歌声/リリック/スライド・ギター、すべてがブルースの猥雑さ(エロティックさ)を象徴してるマディの音楽に、気負いたっぷりに挑んでいくストーンズの青二才ぶりが清々しい(青春デスな)。さらに、若僧がコピーするには難易度の高いレイドバックした歌声といなせでヒップなノリが持ち味のスリム・ハーポに挑戦してたりするのも、〈俺たちは他とはちょっと違うぜ〉的気負いを感じさせて微笑ましい。“I'm A King Bee”という曲を聴けば、若きミックに与えたハーポの影響のデカさを実感できるハズ。そのハーポのブルースのレイドバック感覚と、マディのブルースの猥雑さ、その両方を併せ持ったウィリー・ディクソンのカヴァー“Little Red Roos-ter”は、70年代ストーンズのスワンプ路線を予感させる仕上がりだ。

 そして、初期ストーンズがブルースと同じくらい強くインスパイアされていた音楽にロックンロールとリズム&ブルースというものがあるのだが、前者がブルースのビート感覚を強調~発展させたものであり、後者がブルースのヴォーカル・パートが都会的な洗練を加えながら熟成されていったものである、という意味で、根っこの部分はしっかりブルースと繋がっていることもお忘れなく。ストーンズが熱烈に愛したチャック・ベリーのロックンロールから、キースとミックはキャッチーなギター・リフや作曲センスを学び取り、サザン・ソウルの巨人=オーティス・レディングからは、圧倒的にエモーショナルな歌力を吸収(“That's How Strong My Love Is”のカヴァーは白眉でした)。文字どおり雪だるま式に転がり続けながらブルース的なあらゆる音楽要素を吸収し続けた初期ストーンズ、こんなバンドはやっぱり他にない。

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