輪廻するスライ・ナンバー
SING THEIR SIMPLE SONGS
THE PASTELS『The Last Great Wilderness』 Geographic(2003)
サントラ仕様であるがゆえにインストが主体の本作中にあって、カトリーナが歌う“Everybody Is A Star”はまさに白眉!! 彼ららしい清涼さとほんわりした温かさを湛えたナイス・カヴァーに仕上がっています。
ERIC BENET『True To Myself』 Warner Bros.(1996)
男前で骨太な曲が並ぶベネやんのデビュー作でもとりわけビターな芳香を放つのが、やけにタイトな“If You Want Me To Stay”。ボトムを極太にした故ロジャーのアレンジも素晴らしい。
BARRY WHITE『Staying Power』 Arista(1999)
ベッドの魔術師も“Thank You”を艶唱。〈オレをオレでいさせてくれてありがとう〉って彼が歌うとエロい意味にも取れます(考えスギ)。
VARIOUS ARTISTS『Help』 Polygram(1995)
ボスニア紛争のチャリティー・コンピにてスライの“Time For Livin'”を取り上げたのはシャーラタンズ。ルーズな演奏も気分。
DURAN DURAN『Thank You』 EMI(1995)
タイトルからして……なカヴァー曲集。ボブ・ディランらの名曲と並んで披露される“I Wanna Take You Higher”は、ヒネリのなさが逆に微笑ましい、良い意味での高校生カヴァー。ルー・リードの(顔の)主張が強すぎるジャケにもしっかりスライは登場しています。
DE LA SOUL『3 Feet High And Rising』 Tommy Boy(1989)
スライといえば“Sing A Simple Song”がサンプリング頻度の高さで有名ですが、ここに収録の“Say No Go”は隠れ名曲“Crossword Puzzle”を勇ましくベタ使い。ネイティヴ・タン連中はたびたびスライのレコードからピースフルなヴァイブを取り出していたものでした。
PAUL WELLER『Studio 150』 V2(2004)
ソウル曲もたびたび取り上げている兄貴は、本作の日本盤ボーナス・トラックとしてオルガン・ファンク風の“Family Affair”を披露。かつてテリー・ホールも歌っていた納得のチョイスですね。
サニーデイ・サービス『FUTURE KISS』 ミディ(2000)
幼稚園でのライヴを録音した彼らのラスト作品。ここでオリジナル日本語詞と共に披露されたのが“Somebody's Watching You”。拍手がパラパラ舞うユルくて温かいヴァイブにもマッチした選曲だと言えましょう。
JACKSON 5『Diana Ross Presents The Jackson 5』 Motown(1969)
その園児……じゃなく説明不要の5兄弟も“Stand!”をカヴァー。ここでズバ抜けた歌を聴かせるマイケルは、後にスライ曲の出版権を買い取ったほどのファンでした。
FROST『Smile Now, Die Later』 Ruthless/Epic(1995)
チカーノでも当然スライは聴くぜ! ってことでイーストLAの親分は“La Familia”のフックに“Family Affair”を歌い込んでいます。口ずさんでしまう度の高いスライ製メロならでは?
THE CLINTON ADMINISTRATION『Take You Higher』 Magnatude(2004)
Pファンクをカヴァーするジャム企画バンドだったはずが、この2作目はその名に反してスライ曲集に。ギャラクティックのスタントン・ムーアも参加してます。
JANET JACKSON『Rhythm Nation 1814』 A&M(1989)
最後はもっとも著名なスライ再生曲。ここに収録の“Rhythm Nation”は〈Thank You〉のベースラインをベタ使いしたものでした。同曲を手掛けたジャム&ルイスもプリンス一家出身……と書くと繋がってきますね。
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