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カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2005年12月15日 12:00

更新: 2005年12月22日 18:41

ソース: 『bounce』 271号(2005/11/25)

文/小林 雅明

ヒップホップ生誕の地はいま……

長らく続いたヒップホップの中央集権は終わりを迎えたが、ひとつのローカルとしてNYを捉えれば、まだまだ注目すべき動きはたくさんあって……

2005年もNYを牛耳ったのは、やはりGユニット(クイーンズ)、D・ブロック(ヨンカーズ)、ディップセット(ハーレム)の御三家ということになるだろうか。ただ、クイーンズのモブ・ディープ、イーストNYのMOPを迎えてNY色を強めたかのようなGユニットはゲーム~スパイダー・ロックと西海岸勢を揃え、さらに来年はリル・スクラッピー(所属はリル・ジョン率いるBMEのまま)をブレイクさせると意気込んでいる。対するディップセットにしろ、フィリーのジョー・ビーゼルに止まらず、UKのSASをクルーに完全に取り込んでいる。各々がNYをレぺゼンするだけの段階はすでに終わっていて、彼らの関心はクルーそのものの勢力拡大図(拡がり)を示すことに移っているのだ。特にディップセットは積極的に物量作戦に出ており、ジュエルズ・サンタナ、ジム・ジョーンズ、JR・ライターに続いてヘル・レル、40カルらも控えており、次から次へと出てくる新曲のタマも切れることがない。ただ、Gユニット以外は所属アーティストをメインストリームに乗せるのに苦心していて、キャムロン以外のディップセット構成員(例えば、ジム・ジョーンズ)のようにインディー/ミックステープで作品を出すことの旨味に納得できている者はいいのだが、D・ブロックに関しては代表格であるジェイダキスとスタイルズの2人でさえ、(曲はやたらとあるのに)結局2005年もアルバムを出せなかったのは痛い(シーク・ルーチでさえ駆け込みで年内リリースしたという感じだ)。Gユニットとのビーフも絡んでか、2人はインタースコープの方針を公然と非難しているほどだ。

 一方、前年ほどではないものの、ヒットが欲しい時のジェイ・Z客演頼みな傾向は2005年も続いた。来年は、彼自身の本格復帰(!)は言うまでもなく、彼の新レーベル=ロック・ラ・ファミリアから登場したトゥルー・ライフ(ロウワー・イーストサイドをレぺゼンするプエルトリコ系MC)のメジャー・ブレイクが期待されている(先行カットの曲名も“New New York”だ)。また、デフ・ジャムの新鋭であるサム・スカーフォ(ニュージャージー出身だが)やレミー・マー(SRC)のような〈ファイト・クラブ〉でのバトル覇者、BET主宰〈フリースタイル・フライデー〉の王者サニー(ジャーメイン・デュプリの元からデビュー)、さらに同種の経歴を持つジェイ・ミルズ(SRCから仕切り直し)など、MCバトルのメッカ的なNYのイメージを活かしたMCも控えている。こうしたわかりやすい〈ウリ〉のある彼(女)らのほうが、パプース、グレイヴィ、メイノーらミックステープ中心のラッパーよりブレイクしやすいのも確か。レゲトンの認知度アップ後であることを踏まえ、トレンドの側面から言えば、ラテン系でしかもバトルに強いラッパーがいま〈最高の理想〉となるようだが、2006年はNYからこそ、この2つの条件を満たした輩が出てきてもいいはずなのだが……。

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