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特集

THREE 6 MAFIA ついに飛翔の時を迎えた、もっとも〈Fly〉なユニット

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2005年12月15日 12:00

更新: 2005年12月22日 18:41

ソース: 『bounce』 271号(2005/11/25)

文/高橋 荒太郎

 95年にファースト・アルバム『Mystic Stylez』をリリースしてから10年が経ったいま、スリー6マフィアはメンフィスだけでなく、南部を代表するビッグ・グループへと成長した。メンフィスで個々にミックステープなどを制作していたDJポールとジューシーJが邂逅し、この2人にクランチー・ブラック、紅一点のギャングスタ・ブー、クープスタ・ニッカ、DJポールの弟であるロード・インファマスを加えた6人によって結成されたのがこのグループの始まりである。

 95年のリリース後、コンスタントに作品のリリースを続け、地元メンフィスでの基盤固めを行なう。グループとの活動と同時に、ヒプノタイズ・マインズという集合体でも動き、そのクルーにはジューシーJの弟であるプロジェクト・パットらも一派として名を連ねている。ギャングスタ・ブーやクープスタ・ニッカのソロ作品もリリースされたが、この2人はやがて脱退。ブーに代わる新たな女性ラッパー、ラ・チャットが加入しては脱退したり、パットが逮捕されたり、かなり減員した時期もあった。

 が、白人ラッパーであるリル・ワイトやフレイザー・ボーイが加入と同時期にソロ・デビューを果たし、ブギー・マンやクロームなどそれより後の世代にあたる若手も加入。ティア・ダ・クラブ・アップ・サグスの活動、トリプル・6・マフィア名義でのアンダーグラウンド音源のリリース、フィルム制作(近作はコメディー映画の「Clean Up Men」)など、ヒプノタイズという集合体は上昇を続けている。

 話が前後するが、こうした変遷を通じてマフィア本体としては、DJポールとジューシーJが作り出す怪音が飛来するようなコラージュ効果抜群の映像的で独特なサウンドを定着させ、ラウド/コロムビアからのメジャー・リリースとなった2000年の『When The Smoke Clears』における飛躍的な成功を機に上昇気流に乗り、現在までその地位をまったく下げることなく活動を続けている。同じレーベルと契約していたNYの実力派(と言われた)ラッパーの多くがドロップしていくなか、マフィアがいまなお契約を更新し続けていることも、彼らへのリスナーの支持の厚さを証明する一例だろう。

 現在、マフィアを構成するメンバーはDJポール、ジューシーJ、クランチー・ブラックの3人になってしまっているが(インファマスは刑務所入り)、キャッチーな“Stay Fly”がヒット中の最新作『Most Known Unknown』では音の細部へのさらなるこだわりを感じさせ、まだまだ進化が確認できる。脳内を渦巻くような不気味で中毒性の高いマフィアの音楽に耳を奪われたなら、それは彼ら固有の確固たる魅力を認識しはじめた証拠。そうなったらアナタも立派なマフィア中毒リスナーのひとりだ。

▼スリー6マフィアの関連作品


DJポールの2002年作『Underground Vol. 15 For Da Summa』(D Evil Muzik)

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