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もはやエリアを越えている!? 全米に広がるビーフの渦……

 きっかけは50セントの“Piggy Bank”だった。この1曲で勃発したGユニットvs.Dブロック/ファット・ジョー/ナズ(&ケリス)のビーフはいまだに決着がつかず、関係曲は数十曲以上に達するも膠着状態に陥っている。これに対して、50の一方的な破門発言に端を発するゲームとのビーフは、5月に形式上の終結を迎えるも、それはやはり形式上のことだった。ゲームが15分に及ぶ“300 Bars And Runnin”(この曲でディスられたメンフィス・ブリーク、ヤング・ガンズもフリースタイルで反撃した!)の強力な一発をはじめとして反撃を続け、期せずして、MCとしての才能が遺憾なく発揮されたのはおもしろかった。が、10月に入る頃には、クルー内の諍いに見て見ぬふりをしていた後見人のドクター・ドレーに申し訳ないと白旗を上げ、Gユニットでのセカンド・アルバム制作に集中、とちゃっかりしていると言うか、調子が良すぎるような気も……。

 このGユニット内ビーフがいったん終息していた頃、アトランタではゲームと並んで2005年を代表する新人ヤング・ジーズィとグッチ・メインとの関係は最悪な局面を迎えていた。きっかけは、グッチのシングル“So Icy”に客演したジーズィがギャラの未払いで怒ったとか、デフ・ジャムがこの曲をジーズィのアルバムに入れようとしたらグッチに拒絶されたなどと言われているが……5月にグッチがストリッパーのギャルの家に立ち寄ったところ、数人の男たちが襲ってきたため、発砲。その3日後に遺体で発見されたのは、何とジーズィのレーベルに属するラッパーであることが発覚。殺人容疑者となったグッチはみずから警察に出頭したのだった。グッチは別の暴力事件で服役中のため、この一件の真相があきらかにされるのは来年以降だろう。

 服役といえば、リル・キムが偽証罪で366日の懲役刑に服しているのも、元を辿ればフォクシー・ブラウンとのビーフがあったからだ。そのフォクシーの新たな敵は〈マイアミのマダム〉ことジャッキー・O。スタジオ内でつかみ合いのケンカになったとかならなかったと言われているが、ジャッキーはきっちり曲を作ってフォクシーをディスっている。

 また、11月にはカニエ・ウエストとも共演したシカゴのライム・フェストが、UKのラップ・グループであるSASと激突。ビーフもいよいよ国境を越えたか?と思いきや、SASはディップセットに属しているわけで、そのあたりの事情も絡んでいるようだ……。

▼文中に登場する面々の作品を紹介

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2005年12月15日 12:00

更新: 2005年12月22日 18:41

ソース: 『bounce』 271号(2005/11/25)

文/小林 雅明

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