Hell Up in Everywhere(3)

SOUTH 注目すべき場所は、常に未知のエリアなのだ!!

　南部という括りの中で埋没してしまいがちだが、アラバマやミシシッピ、ケンタッキー、ノースキャロライナからも今後は目を離してはいけないだろう。これらの地域は他の南部都市と比較すると成功規模の大きいアーティストが限定されているため、現時点でエリアそのものへの大きな注目を集めるには至っていないが、彼らの活躍が後に続くアーティストを刺激して、地域の成熟へと繋がることは十分に予想可能である。

　まず、アラバマのアーティストとしては初のメジャー・レーベルとの契約アーティストとなったダーティが、サザン・バウンスも聴かせつつ、ソウルフルなエッセンスも採り入れたハッスル&ピンプなスタイルで順調に活動中。ケンタッキーではナッピー・ルーツが土臭いフォーキーな音を武器にマイペースに活躍し、これまた安定した支持を獲得している。ミシシッピでは超大物デヴィッド・バナーが、深南部特有の湿地的で多様な音楽性を反映させたトラックで実力を見せつけ、外部制作に頼ることなくキチンと結果も残している。そしてノースキャロライナからのピーティ・パブロもお忘れなく。過去にはシングルが全米大ヒットを記録したこともある彼は、先日シュグ・ナイトのデス・ロウと契約した模様。これによって今後の音楽性への影響もあるだろうし、その動向に対していっそう大きな関心と注目を集めることは間違いない。

　こうしたアーティストの活躍を尻目に、現在も着々とブレイクの準備をしているアーティストが広大な南部のあちこちに存在するのかと思うと、その大きな可能性を感じるなというほうが難しいだろう。さて、次はどんなスターが誕生するのだろうか。(高橋荒太郎)