こんにちは、ゲスト

ショッピングカート

特集

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2005年12月15日 12:00

更新: 2005年12月22日 18:41

ソース: 『bounce』 271号(2005/11/25)

文/bounce編集部

MIDWEST シカゴ、デトロイト、セントルイス……可能性を秘めたエリア

 ザックリ〈中西部〉と括ってはみたが、今年格別の注目を集めたシカゴから、アンダーグラウンドな動きの目立つデトロイト、さらにはネリー一派を中心にスウィンギンな連中が蠢くセントルイス……と、それらすべての動きをひとまとめにして語ることはもはや不可能に近い。〈南部〉同様に、今後は〈中西部〉という曖昧な括りも難しくなっていくのではないだろうか。

 個別に見ていくと、ここ数年のインフレ的なセントルイス・アクトによる数珠繋ぎヒットはやや沈静化したように見える。単体ではエボニー・アイズを送り出したりもしているのだが、大きなムーヴメントとして語れることはさほどなかったというのが正直なところだ(来日も果たしたネリー軍団もリリースの面ではやや大人しかった)。来年はセント・ルナティックスはもちろん、チンギーやJ・クウォンらのビッグ・リリースも予定されているので、それを機にまた動きが激しくなっていくだろう。

 続いて注目すべきなのは、オハイオ州クリーヴランドだ。ここはヴェテランのボーン・サグズン・ハーモニーの根城だが、メジャー契約のなくなった彼らが何と新たにスウィズ・ビーツ主宰のフル・サーフィスと契約した模様。多くの若手アクトを抱えたままの彼らだけに、頻繁なリリースがなされれば状況も変わってくるかも。同じオハイオでは、ノーマークだったシンシナティから現れたザー・ノックも注目すべき連中だった。

 そのザー・ノックも手掛けていたカニエのブレイクで大いに躍進したシカゴに目を移せば、有望新人のライム・フェストがいる。デトロイトにはソロ・リリースを控えたD12周辺の面々がいる。同じミシガンのフリントなら、デイトン・ファミリーやMCブリードといったヴェテラン勢が団結を始めているようだ……と書いていくとキリがなさそうだが、本当は誰かがブレイクした先例のまったくないエリアから、新しいアーティストが飛び出してくることにこそ、ローカル・シーンを見つめる楽しさがある。そしていまや全米のヒップホップはNYもLAも含めたローカル・シーンの集まりなのだ。やめられません。(出嶌孝次)

インタビュー