〈King Of The South〉は誰だ? フリップをとりまくビーフの薫り
〈King Of The South〉の座をめぐるビーフは、2004年6月20日、地元アトランタのFM局主催のライヴでT.I.(写真)が突然フリップを激しくディスったことに端を発している。彼の服役中に地元アトランタに来たフリップにステージ上および“Game Over(Remix)”でディスられたうえ、同曲用に録音済みだった自身のヴァースが不採用だったことにムカついたようだ。2005年に入ってリリースされたフリップとZ・ロウのデュオ・アルバム『Kings Of The South』(表題に注目)の収録曲“Fuck Dat Nigga”にて〈お前の息子を撃つぞ〉と返されたT.I.はブチ切れ、3月24日にヒューストンのラジオ番組に出演し、これからフリップの本拠地=クローヴァーランドに行ってDVDを撮影すると煽り、それを実行に移したところ、現地でフリップ一派とケンカになったのだ。が、その記録映像を観た者や現場に居合わせた者の証言をまとめると、2人とも互いに敵方構成員の1人に手を出されただけの様子。野次馬の発砲で全員一斉に逃げ出したこともあって喧嘩はほんの数分で終わり、2人の直接対決もなかったようだ。翌月、ラップ・ア・ロットのCEOであるJ・プリンスの発案により、彼の立会いの下で両者は非公開ながら和解を果たした。そして、10月にリークされたフリップの最新カット“The South”では何とT.I.(とリル・ウェイン)との共演にまで至り(〈King Of The South〉決定云々ではなく、サウスの各拠点から代表が結集)、このビーフは完全に解消されたようだ(ただし、T.I.によれば次作は『The King』なるタイトルだという)。
だがその裏では、Z・ロウfeat.ポール・ウォール&フリップによる“From The South”を聴いたスリム・サグが〈ディスられているのは自分だ〉と言い出していた。フリップは9月になって〈スリムがライムを自分に当てはめて、勝手にそう思い込んでいるだけで、本当の標的はポール〉だと打ち明けている。T.I.とフリップのビーフ中、ポールがT.I.とつるんでいたことをフリップがよく思っていなかったことはスリムも気付いていたようだ。が、フリップはこれを否定。それに対して、フリップとも親しかったポールは〈彼は常に相手が自分の味方か否かにこだわってばかりで考え方が変わっているが、自分とは何も問題がない〉としている。むしろポールは、同じヒューストンのノースサイドで育ち、アルバムを共作したことのあるカミリオネアの弟の襲撃に関わったとして険悪な関係だったが、9月にこのビーフは解消されたという公式発表があった。
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