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カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2005年11月04日 13:00

更新: 2005年11月04日 17:29

ソース: 『bounce』 270号(2005/10/25)

HEXES & OHS
『Goodbye Friend Welcome Lover.』
 Noise Factory(2005)
  元ヴァーティカル・モザイクのイマイチ垢抜けない眼鏡カップルによる〈レトロ・フューチャー万歳!〉なエレクトロ/シンセ・ポップ・ユニット。ひたすら突っ走るニュー・オーダー風な曲から、しっとりと聴かせるインディー・ギター・ポッパー胸キュンァな曲まで、センチメンタルに駆け抜けます。(久保)

MONTAG
『Alone, Not Alone』
 Gooom(2005)
  モントリオール出身のアントワーヌ・ベダールによるソロ・ユニット。みずからも公言するようにステレオラブからの影響が色濃いラウンジ・ポップ・エレクトロニカは、人懐っこいメロディーとふわり漂う質感+ちょっとしたモンド感がいっぱい! 男女ヴォーカルも見事に掛け合っており、痒いところなし!(久保)

DEADBEAT
『New World Observer』
 Scape(2005)
  〈どっぎゃ~ん、しゅお~〉っと地面から宇宙まで一気に突き抜ける極深ダブが心地良いデッドビートの3作目。ゆったりとした余裕のミニマル・ダブはアンビエント効果も抜群で、音から煙る神聖な空気が最高! 女性ヴォーカルやフィールド・レコーディングを随所に散りばめたオーガニックな隠し味も効いていている。(久保)

MARC LECLAIR
『Musique Pour 3 Femme Enceintes』
 Mutek Fab(2005)
  ずったずたのマイクロ・サンプリング・ビートで日常を切りつける、エレクトロニカ界のジャック・ザ・リッパー=アクフェンが本名で発表した異色作。穏やかなストーリー性と大波のようなアンビエンスに心流されるも、鋭いパルス音と深いミニマル・ダブでコラージュの海にズブリ。その瞬間がまさにメランコリック!(久保)

MITCHEL AKIYAMA
『Small Explosions That Are Yours To Keep』
 Subrose(2005)
  モントリオールの電子音響作家=ミッチェル・アキヤマの4作目。弦楽器や管楽器のクラシカルな響き、ゴングやベルによる疑似ガムラン、不意に現れるギター・フレーズ、耳をくすぐるデジタル・ノイズ。それらすべてのアブストラクトな要素を抽出&再構築した奇跡的な美しさと完成度を誇る一枚! 傑作です。(久保)

MUNESHINE
『Opportunity Knocks』
 Wax Reform(2005)
  フォーカスのトラックメイカーとしても知られているトロント出身のムーンシャインが放った初のソロ作は、敬愛するピート・ロックやDJスピナまでもが参加した大騒ぎの一枚! 〈シーンを牽引するのは俺だ!〉と言わんばかりにラップまで披露しています。ジャジー&メロウなトラックを作らせたら、この人の右に出る者はいない!(金)

SOSO
『Tenth Street And Clarence』
 Clothes Horse/hue(2005)
  サスカトゥーン出身のソーソー。ピアノやアコギなどの生音とフィールド・レコーディングで構築された美しいキャンヴァスの上を、DJプレミアばりの太いビートが折り重なっていく。胸ぐらを掴まれるかのような大胆な展開は、まさにカナダの異端児だからこそ作り出せたもの。涙必至の傑作です。(金)

NOLTO AND FACTOR
『Red All Over』
 Side Road/hue(2005)
  サスカトゥーン出身の若手ラッパー=ノルトと、レーベル・オーナー兼トラックメイカーのファクターがガッツリ組んだ夢の共演作。四季を感じる美しくも切ないトラックは日本人にずっぱまりだし、ノルトの歌心溢れるラップも自然と身体に染み込んでいきます。カナダの未知なる可能性が溢れた充実の一枚!(金)

SIXTOO
『Chewing On Glass』
 Ninja Tune(2004)
  アンチコンとの交流などで知られるシックストゥーは、カナダの魔窟ことハリファックスが産んだシーンの寵児。巧妙なサンプリングで緻密に構成された終末感漂うトラックメイキングの才は果てることを知りません。本作ではダモ鈴木まで駆り出して、カナダの霧深い森を思わせる深淵なサイケ・ビートを紡いでいます。(北野)


NOAH 23
『Jupiter Sajitarius』
 2nd Rec(2005)
  バラクーダ72やオルファンといったイカレた精鋭たちが名を連ねるレーベル、プラグ・ランゲージを主宰するのがノア23。今作は、ポップとアヴァンギャルドが邂逅したようなウネリまくったトラックの上を爽快なフロウで一気にまくし立てる痛快なアルバム。〈アンチコン以降〉という言葉はコイツらのためにある!(北野)

BUCK65
『This Right Here Is』
 V2(2005)
  かつてシックストゥーと共にセブトーンズ名義で活動していたバック65は、しゃがれ声でブルージーに迫るフロウが印象的なカナダ随一の語り部。卓越したライミングと幻想的なトラックが醸し出す枯山水のごとき味わいは、名盤『Talkin' Honky Blues』からの楽曲を中心としたこのベスト盤でもたっぷりと堪能できます。(北野)

パトリック・ラシャリテ(ビロウ・ザ・シー)

  英語を話す人とフランス語を話す人がいるっていう多様性が、モントリオールのシーンをとても優雅にしていると思うよ。加えて、みんな好奇心旺盛な傾向があるんだ。この街にはたくさんのクラブやライヴハウスがあるけど、連日連夜どこもブッキングされている。とにかく地元のシーンは大盛り上がりさ。モントリオール出身の代表的なグループといえば、ゴッドスピード・ユー!ブラック・エンペラーとアーケイド・ファイアだと思うんだけど、彼らにはこのシーンの灯りをさらに強くする責任があるね。

マッケンロー

  僕が運営しているピーナッツ&コーンは11年間続いているレーベルで、着実にシーンが育っていくのを見てきた。インターネットのおかげで、僕らは世界中のファンと出会うことができるんだけど、このレーベルを始めた頃は、会ったこともない人たちが僕の音楽を聴いてくれるなんて想像もできなかったね。いまでは世界中の人たちが好意のメールを寄せてくれる。カナダ・シーンは緊密で、僕たちは多くのアーティストといっしょに仕事もできるし、助け合ったりもできるんだ。コミュニティーで協力し合うことで、今後もあらゆる可能性を切り拓いていけると思うよ。

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