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ファイストがかつてピーチーズと暮らしていた〈701〉におじゃましよう!

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2005年11月04日 13:00

更新: 2005年11月04日 17:29

ソース: 『bounce』 270号(2005/10/25)

文/山西 絵美

 可憐だけど逞しく、冷ややかだけど温かく、シンプルだけど奥深い。ブロークン・ソーシャル・シーンの新作にも顔を覗かせる歌姫、ファイストの音楽性はとてもじゃないけど一言では形容しがたい。そんな稀有なシンガー・ソングライターなのである。今年6月に初のソロ作『Let It Die』をリリース、そして9月半ばには待望の来日を果たした彼女に、愛すべき音楽仲間の話を訊いてみた。

「生まれ育ったトロントでの学生時代は、音楽シーンというより身近な友人たちが集まったコミューンのような環境があったの。ゴンザレスやピーチーズをはじめ、いまも付き合いのあるアーティストたちの多くは当時からの仲間なのよ」。

 その当時、彼女は〈701〉と呼ばれていた部屋でピーチーズと生活を共にしていたという。

「最初はテイラー・サヴィと私がルーム・シェアをしていたの。そこへピーチーズも越してきて、しばらくいっしょに暮らしていたわ。そのアパートはほかの音楽仲間が住んでいる地区の真ん中に位置していたから、なにかというとみんなで集まっていたのよ。食べたり飲んだりしながらただ喋っていただけなんだけど、毎日楽しかった!」。

〈カナダでは家に鍵をかけない〉とはよく言うが、〈701〉も類に漏れず。文字どおりオープンなこの部屋には、先述したアーティストのほかにも、モッキーや伝統音楽の研究者などなど、とにかく個性豊かな面々が連日のように集合していたのだそう。

「ピーチーズの部屋からはいつも得体の知れない音楽が流れていて、いまだになんの曲だったのかわからないの(笑)。そうそう、あの当時、テイラーの影響でアルバム収録の“Three Little Girls”のようなアメリカの伝統歌をよく聴くようになったのよ」。

 ここ1~2年はフランスで生活しているという彼女。しかし、学生時代に地元で育んだ交友関係が、いまでも彼女に大きな影響を与えていることは間違いないだろう。なぜならファイストの奏でる音楽は〈701〉に集った仲間たちと同様、一筋縄ではいかないものばかりなのだから。

▼文中に登場したアーティストの作品を紹介

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