Pファンク再評価を何度でも促すGからのアプローチ ONE NATION UNDER A "G" ROOVE
Gファンク最初期に生まれたもっとも典型的な一曲にして最高峰とも言えるのがスヌープ・ドギー・ドッグのクラシック“Who Am I(What's My Name?)”だが、コーラスの〈♪スヌ~ド~ギ~ドォ~オオ〉とラップの〈バウワウワウユピヨウユピエイ〉をジョージの“Atomic Dog”から引用しているこの曲は、“(Not Just)Knee Deep”のベースに“Mothership Connection”のコーラスに……とPファンクの曲ばかりで組み立てられている。まさにPあってこそのGというわけだ。ストリート感を醸し出しながら、シニカルで反社会的な要素やエロい側面も内包しつつ、ユーモラスな〈わらべうた〉のように親しみやすく仕立てられたPの楽曲が、サンプリングのセンスを重視するNY系アクトよりもローカルなG連中によって無条件に愛されてきたというのは凄く頷ける話だ。
そんなネタ需要に比例して、ジョージ個人への客演ラヴコールもやはりローカルなG連中が中心となっている。2パックのドラマティックな語り口に呻き声のような合いの手を差し込む“Can't C Me”、“I'd Rather Be With You”をネタにまったり唸るトゥー・ショートの“Gettin' It”、さらにはウォーレンGの“Speed Dreamin'”、最近だと“(Not Just)Knee Deep”の替え歌のようなダズ・ディリンジャーの“Nothin' Can Stop Us Now”にてガラガラの掛け声を披露……と、芝居がかったヴォーカルで(大した出番じゃなくても)強烈なファンクの刻印を残す楽曲ばかりだ(ジョージに激似のノドを聴かせるコケインの客演人気が高いのもそういうことだろう)。他にも相当ローカルな無名勢との絡みは多く、そんな大御所らしからぬフットワークの軽さも彼が愛される理由なのかもしれない。
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