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特集

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2005年10月06日 13:00

更新: 2005年10月06日 19:41

ソース: 『bounce』 269号(2005/9/25)

THE LONGCUT
  今年の〈フジロック〉で強烈なパフォーマンスを披露してくれたマンチェスター出身のロングカット。見た目はさえない文系学生風の3人組ながら、みずからの持ち味を〈エネルギーと強さ〉と表現するだけあって、緊張感漂うポスト・パンク・サウンドとアグレッシヴなグルーヴはまるでジョイ・ディヴィジョンmeetsミュージック! そして、フロントマンのスチュアート・オギルヴィはなんとヴォーカル/ドラム/シンセサイザーを兼任と守備範囲の広さを見せてくれつつ、曲の前半ではタンバリン片手にヴォーカルをとり、後半になると狂ったようにドラムを叩く姿が果てしなく攻撃的。ニューウェイヴ・リヴァイヴァルに括られたバンドたちは正直この先厳しいが、ロングカットはそこに属さず。〈もしイアン・カーティスがマッドチェスター期に生きていたら〉的ないままでにないオリジナリティーへの期待の高さがそのまま高得点連発へと現れている。そう、彼らはいまもっともアルバムを待たれている新人なのです。最後に、このバンド名を訳すと〈長い切り傷〉だそう。ヒリヒリするぜ!!(白神篤史)

(1)「人々を驚かせることかな。それから演奏する時はエネルギーと強さをキープすること」(ジョン・フィーロン、ベース:以下同) 
(2)「ミッドフィールド・プレイメイカーだね」 
(3)「やっぱりマンチェスター・ユナイテッド!」 
(4)「マンチェスターに住み始めて5年ぐらいかな。ここは俺たちのアダプテッド・ホームタウンなんだ。ミュージック・シーンに惹かれて引っ越したんだよ。アコースティック・アナキーやハイ・ヴォルテージなど、今またヤバいバンドがたくさん出てきているんだ。俺たちはマンチェスターにいる。何かが起こっているこの街に」

THE FUTUREHEADS
  U2のボノがサインを求めるほか、名だたるUKミュージシャンたちを虜にしている4人組。もともとは地元で不良少年を音楽で更正させるプログラムを教えていたバリー・ハイド(ヴォーカル/ギター)を中心に結成。しかしメンバーは元不良少年というわけではなく、むしろ朴訥とした素朴さが魅力。ゆえに(?)ルックスの平均値こそ低いが、コメントのユーモアからもわかるように、性格の良さは折り紙付き。イケメンとは言わずとも、優しい表情から素晴らしい性格が見て取れる……というのは私の欲目? 一方で守備力の高さは、ヒネくれたメロディーを激しいポスト・パンク~ニューウェイヴ・サウンドで暴走させる楽曲が放つ求心力によるものか。パワフルな演奏と個性的なコーラス技をはじめ、ライヴでは観客を2つに分けて歌わせたりと、サーヴィス精神も満点。しかも、それを本人たちがいちばん楽しんでやってるところも最高。ダウナー気分を吹き飛ばす〈魔法〉を音に宿した実力派。(妹沢奈美)

(1)「絶え間なく溢れるエネルギーとユーモアのセンス……かな」 
(2)「やっぱりストライカーだよ。フューチャーヘッズには力と正確さがあるからね。それにとても素早いし、技能にも長けているから」 
(3)「マンチェスター・ユナイテッド/ロイ・キーン」 
(4)「僕たちの住むサンダーランドには〈サヴァロイ・ディップス〉と呼ばれている牛脂に浸したサンドウィッチがあるんだけど、これは地球上でもっともおいしい食べ物なんだ。まだ食べたことのない人には、ぜひとも食べてもらいたいな」

LITTLE BARRIE
  デビュー作でのセンスいいジャケットもインパクト大なリトル・バーリー。3ピースならではのエネルギーを生かしたソリッドなロックンロールを鳴らす彼らは、なんと守備力が5点満点。直球ロックンロールの魅力を存分に感じさせてくれるサウンドは、どこか懐かしさをも醸し出すほどに過去のロック、ことに60年代のそれへの敬意が随所に見られる。とはいえ、単純な懐古主義のバンドだと早とちりすることなかれ。むしろファンクやソウル、ブルースなど、最近の新人がそれほど顧みない要素を彼らはきちんと音楽性に反映している。このバンドが〈音楽〉という表現に向ける視線はかなりオープンで、そしていい意味で普遍的だ。ブラック・ミュージックの要素を採り入れていることやパワフルな演奏力の効果もあって、彼らの音にはグルーヴ感がある。顔はそれほどヤバいわけではないし、演奏してる姿は超クールだしで、ルックスの評価をもう少し上げてもいいと思うんだけど……ダメっすか?(妹沢奈美)

(1)「僕らのやり方でゲームを運ぶ。メディアが作り上げたトレンドに興味を持たない」(ルイス・ワートン、ベース)、「誠実さ。フリーキックを得るために、ダイヴしたり懇願したりはしない」(バーリー・カドガン、ヴォーカル/ギター) 
(2)「ウインガー。いつもチャンスを狙ってるからね」(ルイス)、「アップ・フロント。タックルはせずにシュートを打つ!」(バーリー) 
(3)「ポーツマスFC」(ルイス) 
(4)「イギリスでもっとも素晴らしいフットボール・サポーターを有する街だし、たくさんの友人が住んでいるところ」(ルイス)、「そりゃ、〈リトル・バーリーFC〉がスタートした街ってことだよ」(バーリー)

THE DEPARTURE
  インディー・デビューからわずか3か月で名門パーロフォンと契約を交わし、彗星の如くシーンへ躍り出たノーザンプトン出身の5人組。〈キラーズへのUKからの返答か!?〉というのがファースト・シングル“All Mapped Out”を聴いたときの感想。昨年の〈ソニマニ〉&今年の〈サマソニ〉でも切れ味抜群のステージを披露してくれた。ニューウェイヴ・リヴァイヴァルのさなかに登場した彼らは、あまりにもその出現が必然的であったためインパクトに欠けたのか、評価は平均的でバランスがとれている。いわば天才でもバカでもない凡人タイプ。だが、ここはフォローさせていただきたい! まばゆいばかりにロマンティックなメロディーと、ダークで鋭利なギター・サウンドが生み出す甘美で切ない音世界はとにかく素晴らしい。それには誰も否定することができないでしょう。ファースト・アルバム『Dirty Words』はエコー・アンド・ザ・バニーメンやキュアー、スミスなどへの愛情も搭載した高性能ニューウェイヴ・ポップの傑作。ちなみに目標とする作品はデペッシュ・モードの90年作『Violater』だそう。息の長いバンドになってほしいです。(白神篤史)

(1)「プレイ技術(演奏力)、ステキなポップソング、メンバーそれぞれが仲の良い友達であること」 
(2)「ミッドフィルダー。いつも右サイドにはすばしっこい奴らがいて、みんなをサーッと追い越して重要な得点を決めるんだ」 
(3)「コブラーズ」 
(4)「僕のホームタウン・チームはコブラーズというんだ。たぶんこのチームはサッカーをするより、靴作りのほうがあってると思うんだけど……(註:ノーザンプトンはドクター・マーティン発祥の地)。でも僕たちはこのチームが大好きなんだ。願わくばいつの日か勝利を決めてほしいね」

THE LITTLE FLAMES
  なにかのきっかけがあったわけではないだろうが、サブウェイズやサンズ・アンド・ドーターズ、そしてわれらがジュリエット・ルイス嬢まで、ピチピチなギャルを含むバンドがロック・シーンでリンダリンダリンダと絶賛繁殖中である。そんななか異彩を放っているのが、今年の〈サマソニ〉でついにヴェールを脱いだリトル・フレイムス。リヴァプールの変態レーベル=デルタソニックの手腕らしい枯れた風合いが、紅一点ヴォーカルのエヴァ・ピーターセンのクールな声質に見事なまでに融合していて、その名のとおり小さな炎をチロチロと揺らす。中毒性の高いその熱度はハンパではない。現在シーンを席巻しているギャルズと比べると、幾分〈おきゃん度〉は低めだが、逆に言えばそれだけ本格的な精度を誇っているという立派な証拠でもある。今のシーンを代表するレーベル所属だとか、エヴァちゃんが18歳だとかいう情報抜きにしても、その期待値は女の子も普通にロックする〈なでしこUK〉時代において群を抜いている。デビュー・アルバムの到着が本当に待ち遠しい。(加賀龍一)

(1)「友達で曲が書けること」(エヴァ・ピーターセン、ヴォーカル:以下同) 
(2)「ストライカー。だって得点王なんだもん」 
(3)「私は断固リヴァプールFC。でもバンドのメンバーにはリーズ・ユナイテッドやマンチェスター・ユナイテッドを応援してる人もいるわ」 
(4)「リヴァプールFCとリトル・フレイムス! あと、マージー川も最高ね。メンバーの中にはリーズ出身で〈リヴァプールはなにもない!〉って言ってるヤツもいるけど、ピースフルでいい街よ」

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