NORTH & CENTRAL ENGLAND
反骨精神ムキ出しのギラついたバンドが盛りだくさん!
各チーム(バンド)への質問
(1) 自分たちの持ち味は?
(2) バンドをサッカーのポジションに例えるとするならばどこ?
(3) 好きなチーム/選手は?
(4) 自分たちの街自慢をしてください!
MAXIMO PARK
フランツ・フェルディナンド以降、UKシーンでは〈ヘンであること〉が必須項目のひとつとなっているが、超名門レーベル=ワープから初のギター・バンドという触れ込みと共に鮮烈なデビューを果たしたニューカッスル出身の彼らもその例に漏れず、どこかしらコミカルな雰囲気を纏っている。確かなリズム感と緩急自在にシフト・チェンジを繰り返しゴールを堅守するサウンド、その合間をウネウネと動き回るキーボード、ステージ上では本を片手にゴールを狙うピッチリ横分けのヴォーカルによる即効性バツグンのキャッチーなメロディー──その安定した守備力と閃きに満ちた攻撃力の不思議なバランス感は、初期XTCやパルプなどを例に挙げられるように、まことに〈ヘン〉な強度を誇っている。いうなればタテとヨコ、さらには奥へと揺さぶりをかけて爆走する〈三次関数ニューウェイヴ〉的複雑なフォーメーションが、気がつけばピッチ上で理路整然とした〈ひとつの線〉を美しく描いているからおもしろい。ワープという組織力に目が奪われがちだが、それを抜きにしても〈攻めても守ってもよし〉という平均点高めのポテンシャルはかなり魅力的だ。(加賀龍一)
(1)「他のバンドと比べて多彩なスタイルを持っていることかな。いろいろな音を実験的に使ってみたりしている。ひとつのスタイルをキープし続けるバンドもいるけど、僕たちはそうじゃない」(ダンカン・ロイド、ギター:以下同)
(2)「センター・フォワード。ゴールを決めたいから(笑)」
(3)「好きなチームはダービー・カウンティー。選手では70年代に活躍したブラジルのソクラテスかな」
(4)「ニューキャッスルは最近かなり話題なんだよ。マルチ・カルチュアルな街でもあるし、観光客も増えている。とっても良い街だよ」
THE DEAD 60s
リヴァプールといえばビートルズ。彼らが栄えた60年代へのノスタルジーに対するアンチテーゼ、それがデッド60sである。もうその時点で身震いするほど新鮮なので、攻撃力はいきなり高ポイント! 音の内容はパンクにスカやダブを融合させたもの──でも、クラッシュやスペシャルズが確立したスタイルのまんま!?なんてことは言いっこなし。だって今の時代にデッド60sほどダークで危なっかしい音でパンクやスカ、レゲエに新たな命を吹き込めるバンドがいる? 70年代の偉大な先人の手法を踏襲しつつも、彼らほどかっこよくモダンな感性を注入できたバンドが他にいるだろうか? 本人たちもクラッシュなどからの影響は否定しない。けれど〈今〉の空気を音のエッセンスとして柔軟に採り入れて、若さゆえの青さやストレスも含んだ〈今〉を生きる等身大の彼らのエネルギーは、30年前からしっかりアップデートされた音像を作り上げているのだ。将来性の高さはそんな彼らが世界に飛び出して吸収したエキスをどう今後の作品に反映するかの期待値でもある。マット・マクマナモン(ヴォーカル/ギター)が坊主のままでいるならルックスも満点あげちゃう!(加藤直子)
NINE BLACK ALPS
ソニック・ユースとエリオット・スミスが大好きで集まったこの4人組はニューウェイヴ・バンドでもなければ、そこらのシーンにも属さない〈オレ流〉な存在であるが、今年デビューした新人のなかでも確実にハイライトのひとつ。1曲の平均は2分半。UKロックの聖地=マンチェスター出身でありながら、ピクシーズやニルヴァーナを通過した破壊力抜群のオルタナティヴなサウンドと、ダイナソーJrを彷彿とさせるフィードバック・サウンドを鳴らしつつ、UK特有の繊細さやメランコリーをしっかりと聴かせてくれる。そのあたりはよくヴァインズを引き合いに出されるが、ナイン・ブラック・アルプスはそこまで作り込むことはなく、あくまで衝動と勢いをシンプルに表現している。知的でクールな佇まいと、そこから繰り出される激情サウンドとのギャップも彼らのオリジナリティーのひとつ。ブリット・ポップ前夜、〈ビートルズを超える!〉と言ったのはギャラガー兄弟。そして今、空前のUK新人ブームにしてメディアから大絶賛を受けながらも、〈家賃が払えればいい〉と言ったのは何を隠そうヴォーカルのサム・フォレスト。無欲なのか? それとも家賃がバカ高いのか!? (白神篤史)
KAISER CHIEFS
つい昨年まで別の仕事をしながらいつか音楽で食べていくことを夢見ていたというのに、いきなり音楽誌の表紙を飾るような超人気者になってしまった話題のシンデレラ・ボーイズ! キンクスやスモール・フェイセズなど60年代のロック・スタンダードを身に纏い、80~90年代のちょっと鼻にかかった王道UKロックのテイストを装飾に加えた、あまりにもUK的なサウンドの構成要素、そして突き抜けてあっけらかんとしたキャラが功を奏して、ひと夏で世界中のキッズを虜にした彼ら。そんな驚異の最大瞬間風速を叩き出した攻撃力はあっぱれ!! また、御大リアム・ギャラガーによる「下手なブラーみたいでクソだ」のお言葉にも、むしろ〈いじってくれて嬉しい!〉と洗礼をかわすしたたかさを持ち合わせており、守備もしっかり高ポイントでしょう。決して男前ではないが、見た目のキャッチーさもアイドル的人気に繋がり、何よりライヴを目撃した誰もが〈何だかわからないけど激しく楽しかった!〉と感想を漏らす理屈抜きにハイテンションなパフォーマンスで持久力は満点! さて、この勢いはいつまで続くのか……見ものだね。(加藤直子)
(1)「インターナショナル」(ニック・ホジソン、ヴォーカル/ドラムス)
(2)「オフェンシヴ・ミッドフィルダー。観ていて興奮するポジションだから」(ニック)
(3)「リーズ・ユナイテッド/ダニス・ブック」(サイモン・リックス、ベース)
(4)「リーズはライヴハウスやショッピング・モールがたくさんあって、やることの尽きない街」(ニック)