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特集

粋なディスコグラフィック――いい男のAOR

Discographic[ いい男のAOR ]

ボビーと併走したグルーヴィーな名品を紹介!!

NED DOHENY 『Hard Candy』 Columbia/ソニー(1976)

  男の裸に水滴が……とか示唆的なものを感じてしまうジャケ(裏ジャケはやりすぎ)だが、中身は違う意味で深読み可能なクロスオーヴァー・ポップス。ソウルやジャズのフレイヴァーを随所に潜ませた展開が美味。ナイーヴなメロディーと優しい歌い口に騙されちゃダメよ。

LARRY LEE 『Marooned』 Columbia/ソニー(1982)

  鈴木英人のイラストレーションも目に鮮やかな日本独自ジャケの体裁でリイシューされた邦題〈ロンリー・フリーウェイ〉。クリスタルなシンセで飾り立てられた“Don't Talk”を聴きながら午後の乾いた風に吹かれたら、もう戻ってこないあの夏を思い出しちゃうんだよね。

JIMMY MESSINA 『Oasis』 Columbia/ソニー(1979)

  リユニオン・ツアーも盛況らしいロギンス&メッシーナの地味なほう……なんてもう言わせないぜ! トロピカルな“New And Different Way”で軽やかに幕を開け、穏やかなファンクネスが蠢く“Do You Want To Dance”などいまこそ聴きたいダンス・チューンの連打にビックリ。

BILL CHAMPLIN 『Single』 Epic/ソニー(1978)

  邦題は〈独身貴族〉。現在はシカゴのシンガーとして活躍するビルチャンの最高傑作。レイ・パーカーJrやTOTOら豪華な演奏陣がデヴィッド・フォスターの旗振りの下に集ったゴージャスな作りはまさに貴族級。ブルージーな歌を受け止めるボトムのグルーヴィーさも特筆モノ!

DANE DONOHUE 『Dane Donohue』 Columbia/ソニー(1978)

  イーグルスの面々やラリー・カールトンら西海岸人脈が援護したシンガー・ソングライターの初作。ヴィブラフォンが煌めく後半がヤバい“Casablanca”、男の色気が漂う“Dance With The Stranger”など全編が武骨&スマート。どこでもタバコが喫い放題だった時代の傑作。

THE BLISS BAND 『Dinner With Raoul』 Columbia/ソニー(1978)

  このたび世界初CD化! ムワ~ッと成熟した歌声のポール・ブリスを軸に、フィル・パーマーらの腕利きが揃ったバンド。日本のシティー・ポップを思わせる(逆だけど)アレンジの“Rio”で胸がギュッとなる。ソウルフルな“Right Place, Right Time”も良い。

SOUL SURVIVORS 『Soul Survivors』 TSOP(1974)

  ニュージャージー発の白人グループが活動休止から復活して、フィリー・ソウルの殿堂に残したブルーアイド・ソウルの名品。軽快なフィリー・グルーヴだけじゃなく、コンガの効いたスロウ“Virgin Girl”なんかを聴くにつけ、早すぎたAOR大作として再評価されるべきだと思うぞ。

MICHAEL FRANKS 『Sleeping Gypsy』 Warner Bros.(1978)

  クラウス・オガーマンがアレンジしたソフト&メロウな超傑作。“B'wana - He No Home”や“Down In Brazil”といった仄かな躍動を湛えた楽曲はボビーの世界観にも通じるものだけど、この口当たりの柔らかさはちょっとありえないほどのチル気分を連れてくるね。

AIRPLAY 『Airplay』 RCA(1980)

  デヴィッド・フォスターがいたエアプレイ、唯一のアルバム。ホーンのアレンジが格好いい“Nothin' You Can Do About It”、EW&Fに提供した“After The Love Is Gone”あたりを聴かせればあの娘もメロメロになるはずだけど、ジャケは見せないほうがイイかも……。ちなみに邦題は〈ロマンティック〉!

NITEFLYTE 『Niteflyte』 Ariola(1979)

  ハワード・ジョンソンがいたグループとして、ソウル好きからもAORファンからも高い支持を集める傑作! 何はなくとも、“If You Want It”の完璧なメロウ・グルーヴであの娘を連れ出せれば、素晴らしい夜間飛行は約束されたようなものさ。でも、ジャケは隠しておいたほうがイイかも。

FINIS HENDERSON 『Finis』 Motown/ユニバーサル(1983)

  EW&Fのアル・マッケイが手掛けたブラコン寄りの作品だけど、AORと何ら変わらない洒落っ気を着こなしたシティー・ポップとしても抜群の出来。ボビーやマイケル・マクドナルドにも通じる“Making Love”のようなグルーヴに心もゆらめくね。で、邦題は〈真夏の蜃気楼〉。

BOZ SCAGGS 『Middle Man』 Columbia(1980)

  ボビーに比肩する〈AORキング〉のボズが活動休止前にリリースした最後のオリジナル・アルバム。名曲“JoJo”を筆頭に、某LEONの500倍はモテそうなダンディズムを閃かせる。ちなみに、〈疲れたよ……〉と呟いて絵になるのは真の男だけだから注意しないとな! 

カテゴリ : ピープルツリー

掲載: 2005年09月15日 14:00

更新: 2005年09月15日 18:44

ソース: 『bounce』 268号(2005/8/25)

文/出嶌 孝次

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