Kanye West
俺はヒップホップ・シーンでもっとも神に近い存在だと思うよ
限界まで挑戦させられてる
「もし俺がアルバムを作らなかったら、みんなはいったい何を買うっていうんだ? 音楽を愛していて、トライブ・コールド・クエストや昔のバッド・ボーイ、昔のウータン・クランなんかを聴いて育ったファンのために、いまいったいどんな音楽が存在してるっていうんだよ? 本当にデカいスケールの音楽、って意味で言ってるんだぜ」。
カニエ・ウェスト。インタヴュアーを確実に悪夢へと引きずり込むこの男は、ことリスナーに対しては最高にロマンティックな夢を提供してくれる。2004年最大のセンセーションだった『The College Dropout』から約1年半を経てのセカンド・アルバム『Late Registration』。その制作に着手するに際してカニエのヴィジョンに浮かび上がったのは、96年に当時18歳のフィオナ・アップルがリリースしたデビュー・アルバム『Tidal』だったという。
「『Tidal』が大好きでね。ああいうサウンドを作ってみたいって前から思ってたんだよ。それから好きなアルバムをいくつか挙げていったんだけど、それらの作品はジョン・ブライオンがプロデュースした作品だって誰かが教えてくれてさ。それからジョンの電話番号を調べようといろいろあたってみたんだけど誰も知らなくて、最終的にリック・ルービンに調べてもらったんだ。その後ですぐにジョンに電話したら同じヴァイブを感じてさ。俺たちが音楽から何を生み出したいのか、そしてみんなに何を感じてもらいたいのか、一致してることがわかったんだ」。
カニエ・ウェストとジョン・ブライオン、これほどまでにイマジネーションを掻き立てられるコラボレーションはめったにお目に掛かれるもんじゃない。ジョンの才能を信用しきれないというカニエ信者には彼唯一のソロ・アルバム『Meaningless』をはじめ、ルーファス・ウェインライトの『Rufus Wainwright』、映画「マグノリア」や「ハッカビーズ」のサウンドトラックを提出しておくが、何よりの証左になるのは『Late Registration』におけるジョンとカニエの共同プロデュース曲が実に9曲にも及んでいるという事実だろう。
「『Late Registration』と『The College Dropout』の決定的な違いを挙げるならば、それはジョン・ブライオンの存在の有無と言っても過言ではないだろうね。彼はあらゆる楽器を操る天才で、俺をもうひとつ上のレヴェルにまで引き上げてくれた。センチメンタルなフィーリングを持ちつつも、しっかりとヒップホップな音になってるんだ。俺みたいなステイタスのプロデューサーが他の人間にプロデュースを依頼して限界まで挑戦させられてるなんて、かなりクレイジーなことだけどな」。
▼カニエが推薦するジョン・ブライオン関連作品
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