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特集

ボブ・マーリーと世界を変えた共犯者たち THE WAILING PEOPLE

カテゴリ : ピープルツリー

掲載: 2005年08月18日 14:00

更新: 2005年08月18日 16:01

ソース: 『bounce』 267号(2005/7/25)

文/鈴木 智彦

BUNNY WAILER

  トレンチタウン時代からのボブの盟友。その絆の深さにも関わらず、ボブの海外マーケット志向に追随することなくウェイラーズを脱退(ツアー中に自然食主義を貫くことが難しい、というのが最大の理由)。そんな一徹さと、実はボブ以上に柔軟性を備えていた音楽的才能の両方はソロ・イヤーズに満開で花開いた。しなやかさと強さを併せ持った確信に満ちた歌声、教義(ラスタファリ)一辺倒ではない、人間愛に満ちたメッセージ。そのスケールの大きさは海のように深く、大地のようにどっしりと頼もしい。

PETER TOSH

  ウェイラーズ3人のなかではもっとも〈過激で戦闘的で直接的〉にゲットー・ピープルのシリアスな現実を歌い、人々の嘆きと怒りをリリックと歌声でブツけたファイティング・マン。(日本でももちろん非合法な)神の草の効能を説き、〈タバコや酒が合法的で、なぜ(神の草が)非合法なのか?〉と激烈に体制に抗議し続けた一徹男。骨太な歌声、ルードな佇まい。ゲットーのルードボーイ魂を最期まで失わなかった反骨の人。癌ではなくガンに倒れた最期も、いかにもトッシュ(合掌)。

I THREE

  リタ・マーリー/マーシャ・グリフィス/ジュディ・モワットという、ソロ・シンガーとしても自立できる実力者3人をコーラス隊に加えていたのもボブのカリスマ性&実力&人気の成せる技。アイ・スリー(ズ)として共に活躍した3人の持ち味はさまざま。ボブの奥様にして大きな〈母性〉のようなものでボブの人生そのものを包み込んでみせたリタ、ダンスホール・レゲエにも適応できるポップな音楽性を存分に発揮したマーシャ、ボブのシリアスなメッセージやブラックとしての尊厳を継承したジュディ、みんな素敵。

ASTON BARRET & CARLTON BARRET

  ボブ・マーリーが世界を視野に入れて活動を開始した69年頃から81年の彼の死に至るまでの期間、サウンド/リズム両面の要としてボブの音楽を支え続けたのがアストン(ベース)とカールトン(ドラムス)のバレット兄弟。もともとはリー・ペリー率いるアップセッターズの一員として、破格のファンキー・レゲエ・サウンドの要となって大活躍していた。ファンクにも通じるウェイラーズのシンコペイト・リズムは、すでにそのアップセッターズ時代に十分下地が作られていた、と言っていい。

OTHERS
  ボブと因縁浅からぬ人の筆頭と言えばリー・ペリー。サウンドシステム(コクソン)の用心棒からスタートしてコクソン運営のレーベル、スタジオ・ワンの音楽ディレクターにまでノシ上がり、独立後はみずからのスタジオ(ブラック・アーク)設立、みずからのバンド(アップセッターズ)を率いてレゲエ・サウンドを次々とイノヴェイトしてみせたのは皆さんご存知のとおり。そしてウェイラーズの3人にヴォーカル・テクニックを授けた男、ジョー・ヒッグス。朗々とした包容力のある歌声は弟子たち(特にピーター・トッシュ)が見事に継承。3人の精神面の覚醒(ルードボーイからラスタファリアンとしての目覚め)にも大きく寄与した偉人としても重要。ラストに紹介するのは、ボブが生前そのスピリチュアルな歌声を別格として認めていたウィンストン・ロドニー(バーニング・スピア)。ボブ専属のバレット兄弟率いるウェイラーズが、例外的に彼の複数の作品に全面参加(いずれも傑作!)。ルーツ・レゲエを広く海外に広め、認知させた功績の大きさは、ボブと比べても遜色なし。


リー・ペリーの編集盤『Chicken Scratch』(Heartbeat)

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