こんにちは、ゲスト

ショッピングカート

特集

愛の教典・アダーサの効き目はバツグン!? ADASSA

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2005年08月11日 15:00

更新: 2005年08月11日 20:44

ソース: 『bounce』 267号(2005/7/25)

文/石川 愛子


 威勢のイイ兄ちゃんばかりが集まるレゲトン・シーンに早くも疲れを感じている方に朗報。目の保養&耳休めにもなるありがた~い女性アーティスト、アダーサが登場です! 彼女のキュートな顔立ちと小柄ながら抜群のプロポーションには、女性だって思わず見とれてしまうはず。コロンビア人を両親にマイアミで生まれ、ヴァージン諸島のセント・クロイ島で育ったというアダーサは、ヒップホップとR&Bはもちろん、ラテンやレゲエ、カリプソといったカリブ音楽にも小さい時から親しんできたそう。「そうやって育った自分の経験を、音楽を通じてみんなと分かち合いたいのよね」と話す彼女。すでに2枚のインディー・アルバムをリリースしているけれど、メジャー・デビュー作となった『Kamasutra』では、レゲトン・ビートを基調にしつつも「多様な音楽環境をこれまで以上にうまく表現できた」とご満足の様子。なかでも気になるのは表題曲の“Kamasutra”。お馴染み〈Coolie Dance〉のリズムに、軽快なヴォーカル、そしていまやP・ディディのビジネス・パートナーも務める話題の男、ピットブルがフィーチャーされているこの曲。そしてテーマはやはりあのインドの〈愛の教典〉!?

「そうそう。単にセクシャルな内容なのかって勘違いする人もいるみたいだけど、ちゃんとあの本を読んだ人ならわかるはず。あれにはセックスのことだけじゃなくて、ふたりの人間が一体になる精神的な美についても書いてあるの。ものすごく惹かれて、手が触れただけでもゾクゾクしちゃう感じとかね。曲中では〈気持ち良くさせてあげるけど、あなたも私にそれだけのことをしてくれるわね?〉って語りかけてて、本に出てくる体位も全部歌詞に採り入れてるのよ」。

   また、アルバムでは英語とスペイン語両方を使っている彼女、そうすることにはこだわりがあるそうで、「親に〈家ではスペイン語で話しなさい〉って昔から言われてたし、自分にとってそれがいちばん自然な表現方法だから……」とのこと。

「ラティーノでも最近全然スペイン語が喋れないコが多いじゃない? でも、私は自分の文化にできるだけ触れておくことって大事だと思うのよ。私だって、いまコロンビアでいちばんのサッカー・チームがどこかなんて訊かれてもわかんないけど、料理の仕方なら多少は知ってるし、そういうことって大切よ」。

 さらに注目したいのは、彼女の表情豊かなヴォーカルだ。ファースト・シングル“De Tra”で聴かせてくれる、男性顔負けのベースの効いたパワフルなフロウから、しっとりしたR&Bトラック“Vas A Regresar”の切なくて甘い歌声まで、曲ごとに同一人物だとは思えないほど雰囲気が変わる。そう思って訊けば、「高校ではオペラを勉強してた」というじゃありませんか。これからもカントリーからグライムまで幅広い音楽を〈研究〉して「オールラウンドなエンターテイナーになりたい」と頼もしい発言をしていたアダーサ。他ジャンルのリスナーにも、そんな彼女の効能ならぬ才能を確かめてみていただきたいものです。

インタビュー