レイ・バービーが語る、音楽のある生活
〈ストリート・ヒーロー〉という言葉があるならば、トーマス・キャンベルやトミー・ゲレロと同様に、レイ・バービーはまさにそれだ。プロ・スケーターとしてストリートからの絶大な支持を集めてきた彼は最高のギタリストとしても知られており、2001年にギャラクシアからリリースされた彼のミニ・アルバム『Triumphant Prosession』にはレイドバックした素晴らしいギター・プレイが詰まっている。待望のファースト・アルバム『In Full View』は、乾いたギターの音色の向こうからレイの日常の風景が透けて見えてくるような、鮮やかな色彩に溢れた傑作だ。そんなレイに、自身のライフスタイルについて訊いてみた。
――まず、あなたの典型的な1日の過ごし方を教えてください。
レイ・バービー「家にいるときは、まず起きたら3歳の息子ノーランと何時間か遊ぶんだ。それから、彼を幼稚園に連れていく。僕はキリスト教徒だから、1時間くらいは聖書を読んだり、祈ったりもする。その後は、電話をかけたり、メールの返事をしたり……音楽の仕事がある時は、ホーム・スタジオで音楽制作をしたりもする。それからスケートをしに出かけるね。帰ってきてからは、妻と子供と過ごすよ、2人が寝るまではね。普通は、その後に音楽をもうちょっとやって、それから寝る。日によっては、バンドの練習があったりもする」
――イジワルな質問をします。もしもあなたの家が火事になった場合、まっ先に持って逃げるのはギター、スケートボード、銀行のカード、次のうちのどれですか?
レイ「やっぱりギターだね。スケートボードは1か月に3回交換しなくちゃいけないけど、ギターを交換するわけにはいかないしね」
――音楽制作の際、なにからインスピレーションを受けますか?
レイ「ただ音楽を作りたいという気持ちがあるからやるだけ。その気持ちは神から授かったものだし、音楽をやっているとすごく楽しいしね。音楽制作の面でもっとも大切にしているのは、〈過程を楽しむ〉ということ。頭にあるアイデアを音楽という形にするためには、それがすごく大事だと思うんだ」
――演奏/プロデュースなどをすべて自分でやってしまうのはなぜですか?
レイ「それ以外に方法がないからだよ。僕のスケジュールはめちゃくちゃ忙しいんだ。スケートボードの仕事もあるし、家族もいる。だから、音楽に集中できるのは、夜遅くだけなんだよ。そうなると、なかなか他の人といっしょにやるってわけにいかなくてね。人によってはできるのかもしれないけど、僕には無理だね」
――そんな生活のなかでも音楽活動を続けるのは、あなたが音楽を愛している、それ以外の理由はないわけですね?
レイ「うん、まさにそのとおりだね」
――あなたの音楽的ルーツとなっているアーティストはだれですか?
レイ「たくさんいすぎて挙げきれないよ。ひとりに絞るなんて無理だね。……うーん、まず、ウェス・モンゴメリーには大きな影響を受けたね。それからミニットメンのマイク・ワットとD・ブーンも僕にとっては重要だな。……人間としてのルーツ? それはね、やっぱりジーザスだよ」
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