ヤードバーズ時代のプレイに見るジェフの特異性 THE YARDBIRD YEARS
ロック・バンドにおけるギタリストという存在にさほどスポットが当てられていなかった60年代初期~中期のブリティッシュ・ビート・シーンにあっても、ジェフ・ベックの存在はひときわ異彩を放つものだった。
彼の名を世に知らしめたバンドであるヤードバーズでは、のちに〈3大ギタリスト〉と称されるエリック・クラプトン、ジミー・ペイジも入れ替わりでリード・ギタリストを務めていたわけだが、当時の評価はベックが一歩抜けていたと思われ、彼がリードを務めていた時期に“Heart Full Of Soul”“Evil Hearted You ”“Shapes Of Things”といったヒット曲が集中しているのも、そういった評価の表れだと言えなくもない。
ブルースやロックンロールといったルーツに対して真摯な態度を貫くギタリストが多かった当時のシーンにあって独特の展開やコード感、さらにはフィードバック奏法などの斬新なプレイを披露していたジェフだが、そんな彼が大きく影響を受けたギタリストとして、独特の音色とコード感で他のエレキ・インスト・バンドと一線を画していたシャドウズのハンク・マーヴィンや、シカゴ・ブルースマンのなかでも革新的プレイを聴かせていたバディ・ガイあたりが挙がるのも、実に頷ける話だ。そういった先達の精神を受け継いだベックは、ヤードバーズにおいてガレージ・ロック的サウンド、ひいてはハード・ロックの源流とも言えるサウンドを確立させたわけだが、ひと足先にヤードバーズを去ったクラプトンによるクリームやジミ・ヘンドリックスといった新興勢力の爆音に煽られたかのように、さらなるダイナミズムをめざしてグループを脱退。3枚のソロ・シングルや、ジョンズ・チルドレンのシングルに参加するなどといった小ネタも挿みつつ、JBGを結成するのである。
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