Jeff Beck(2)
グループからソロへ
それから1年、75年に初のソロ作となる『Blow By Blow』を発表。マハヴィシュヌ・オーケストラなどが押し進めていたジャズ・ロックに大きな影響を受け、インストゥルメンタルでギターの可能性を追求するという新たな方向へと大きく踏み出した歴史的な名盤となった。同年には〈ワールド・ロック・フェスティヴァル〉で2度目の来日も実現させている。翌76年にはシンセサイザーに鬼才ヤン・ハマーを迎え、前作の方向性をさらに発展させたギター・アルバムの傑作『Wired』を発表。ほぼ同時期に、そのヤン・ハマーのバンドと共に全米ツアーに出た。そのときの模様は『Live With The Jan Hammer Group』として77年に発表された。それから3年のブランクを置いて80年に発表されたのが『There And Back』。これが彼のフュージョン期を締め括る作品となった。この年の終わりにはまた来日ツアーを行っている。
その後、5年という長い空白ののちに発表されたのが85年の『Flash』だ。ほとんどが〈歌もの〉で占められ、ナイル・ロジャースのプロデュースによってダンス・ビートが大胆に採り入れられたこの作品は大きな話題を呼んだが、なんといってもロッド・スチュワートが参加した“People Get Ready”はファンへの大きなプレゼントとなった。翌年、来日ツアーを敢行、軽井沢の野外ステージではサンタナやスティーヴ・ルカサーと共演もしている。
それからまた4年、89年にテリー・ボジオ(ドラムス)、トニー・ハイマス(キーボード)と作り上げた『Jeff Beck's Guitar Shop』を発表。ふたたびギター・インスト・アルバムに戻ったが、ここでのサウンドはあきらかにロックだ。前作からすべて指弾きとなった彼のプレイは、よりアグレッシヴかつ繊細になったアーミングと相まって、もう誰も真似のできない境地へと到達していることを感じさせた。同年、このメンバーでの来日ツアーも行っている。その後、92年にはサントラ『Frankie's House』、93年にはジーン・ヴィンセントのカヴァー集『Crazy Legs』を発表するが、その企画もの的な内容はファンには物足りなかったかもしれない。
▼ジェフ・ベックが参加したサントラ
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