TETSUNIQUES & RISING TONES 合言葉は〈RELAX & DANCE!〉&日本語の響きが映えるロックステディ
今年の頭にリリースされたハナレグミのアルバム『帰ってから、歌いたくなってもいいようにと思ったのだ。』に、Rocking Timeの2002年の名曲“ありふれた言葉”のカヴァーが収録されている。これが実に永積タカシの世界観にハマっているのだが、それはRocking Timeが、ロックステディという本国ジャマイカでもごく限られた時期に花咲いた音楽に情熱を傾けつつも、〈唄〉として時代に色褪せることのない良作を作っていた証なのではないだろうか? メイン・ソングライターであり、ヴォーカリストである今野英明の動向については前頁を参照していただくとして、ここで紹介するのはレゲエやロックステディといったフォーマットに則りつつも〈唄〉にこだわりを持つバンドであり、両者共Rocking Timeに縁のあるバンドなのです。
まずはTETSUNIQUES。Rocking Timeのベーシスト、小粥鉄人を中心に、TUFF SESSIONからコーヘイ、クリ、ヤギーの3人が、Reggae Disco Rockersから西内徹が参加して結成。昨年、やっほー!バンドから北村哲が加わり、現在の編成になっている。フルート&サックス、ヴァイオリンといったレゲエ・バンドらしからぬ組み合わせのおもしろさに加え、メンバー全員がヴォーカルを取ったりと、その自由度の高さ、ユルユル具合に中毒者続出のライヴを展開中だ。ライヴがメインのセッション・バンドかと思いきや、先頃ファースト・アルバム『TETSUNIQUES』をリリースしており、こちらでは、時にフォーキーに、時にジャジーに、レゲエという枠に収まることなく、彼らの提唱する〈RELAX & DA-NCE!〉を見事に体現してくれている。
次に紹介するのはRISING TONES。2001年の結成からマイペースな活動を続けており、それまではコンピ1枚に参加しただけだった彼らが、この『RISE YOU UP!』でついに単独CD音源でデビュー。リスナーの胸の奥を一発で焦がしてしまう鈴木大介の甘くも力強い声を武器に、日本語の語感の良さが映えまくるロックステディを披露してくれている。そんな彼らのボトムを支えるのは、Rocking Timeの津村正晃のロマンティックでありながらもタフな鍵盤。そして偶然にも両アルバムで森俊也(現DREAMLETS/元Rocking Time)がミックスやダブをこなしているのだが、さすがは10年来の盟友。メンバーの鮮やかな個性を損なわない見事な仕上がりになっている。〈夏に向けて何かレゲエでも〉って思ってる人だけじゃもったいない! この2作品共、温かい気分になりたかったり、ユルい気分になりたいすべての人にオススメな大器晩成型(?)の新人です。
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