耳で聴いたピープル・トゥリー(2)
BOB DYLAN
『Slow Train Coming』 Columbia(1979)
70年代後半にキリスト教に改宗して以降、続けざまに〈ゴスペル三部作〉と呼ばれるルーツ志向の強い作品をリリースし、賛否両論を巻き起こしたボブ・ディラン。その第1弾に当たる本作に収録されたバラード“I Believe In You”は、BBOAが『Deep River』のなかで原曲に負けず劣らずの美しさでカヴァーした。(野崎)
THE STAPLE SINGERS
『The Best Of Staple Singers』 Stax
グループ結成から長い歴史を持つ両グループ。メイヴィス・ステイプルズはライヴやBBOAのクリスマス・アルバム『Go Tell It On The Mountain』ですでに共演済み。ゴスペルをルーツに持つポップス仲間として、メンバーたちと南部ゴスペル話に花を咲かせている姿を想像しちゃいます。(佐藤)
VARIOUS ARTISTS
『Paul Weller Under The Influence』 DMC
本作はポール・ウェラーのオリジナル・アルバムではなく、彼がお気に入りの16曲を一枚にまとめたコンピ。キンクスからマーヴィン・ゲイ、カジュアルズにボブ・マーリーまで自身の多彩な音楽性そのままのセレクトは、ポール宅のCD棚を覗いているかのような感覚に。おっと、ゴスペル・コーナーにBBOAを発見!!(佐々木)
LADYSMITH BLACK MAMBAZO
『Ukusindiswa/Umthombo』 Wamanzi Gallo
BBOAがピーター・ガブリエルと仲良しなら、オレらはポール・サイモンと!なんて会話は絶対にないと思いますが……、ポールの『Graceland』にフィーチャーされて一躍注目を浴びた南アフリカの老舗アカペラ・グループがこちら。メンバーのおちゃめな佇まい&オシャレさんぶりは彼らと義兄弟の杯を交わすべき。(佐々木)
SPEECH
『Hoopla』 東芝EMI(1998)
スピーチが提示するピースフルでスピリチュアルなメッセージは、人種や世代などさまざまな垣根を超えて響く普遍的でピュアなもの。ときおり露わにする神への愛も決して押し付けがましくなく、温かみを持って心に沁みてくる。例えば“Real Love”なんかは彼なりのゴスペル・ミュージックでしょう。(佐藤)
ザ・キング・トーンズ
『Complete Collection including GOOD NIGHT BABY and other 38 songs』 ユニバーサルJ
日本が誇る超ヴェテラン・ヴォーカル・グループといえばザ・キング・トーンズ。もともとはプラターズからの影響色濃いドゥーワップを展開していた彼らだが、大滝詠一との幸福な出会いによって若い層にも広く知られるようになった経緯は、なんだかBBOAとベン・ハーパーの邂逅にも似ているようで。(佐々木)
RAY CHARLES
『The Genius Sings The Blues』 Atlantic(1961)
共に盲目というハンディを持つ両者。当時の常識を遥かに超え、さまざまな世俗音楽との融合をアグレッシヴに試みたレイ・チャールズのスピリットは、数々のミュージシャンたちと交流を持つBBOAなら理解できるはず。もしかしたら、サングラスの内側には彼らにしか見えない〈光〉があるのかも。(佐藤)
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