耳で聴いたピープル・トゥリー
ブラインド・ボーイズ・オブ・アラバマをめぐる音楽の果実は、ここに一本のトゥリーを生んだ
BEYONCE
『Dangerously In Love』 Music World Music/Columbia(2003)
彼女の主演映画「ファイティング・テンプテーションズ」でゴスペル・コンテストのステージに登場したBBOAと、直接的な絡みはないものの〈共演〉を果たしたビヨンセ。しかも、彼女のバックグラウンドにはゴスペルという大きな柱があるわけで……これを機にもっと密な共演を期待してみたり。(佐藤)
TOM WAITS
『Beautiful Maladies The Island Years』 Island
アイランド時代の名曲“Way Down In The Hole”“Jesus Gonna Be Here”がBBOAの『Spirit Of The Century』で取り上げられ、『Go Tell It On The Mountain』ではゲストに招かれたトム・ウェイツ。ダミ声ながらも極めてスピリチュアルな歌唱は、猛烈にゴスペルを感じさせるもの。(野崎)
ROBERT RANDOLPH & THE FAMILY BAND
『Unclassified』 Dare/Warner Bros.(2003)
近年ゴスペル音楽界のホットなトピックのひとつが、セイクリッド・スティールのブレイク。ペダルスティール・ギターによる祝祭感たっぷりのグルーヴは多くのジャム・バンド・ファンも虜にした。その立役者である彼らは『Higher Ground』『Go Tell It On The Mountain』で偉大なる先達をバックアップ。(野崎)
TONノX
『O2』 Verity/Jive(2002)
独創的な感性でコンテンポラリー・ゴスペル界をリードするトネイ。その異端児ぶりとエンターテイメント精神旺盛な彼の作品はゴスペル・シーンのみならず、他ジャンルのファンをも魅了する説得力に満ちている。世代は違えども、そういった点においてはBBOAと彼は共通するのかもしれない。(佐藤)
MACY GRAY
『The Trouble With Being Myself』 Epic(2003)
BBOAの最新作『Atom Bomb』で取り上げられた、ファットボーイ・スリムの名曲“Demons”のオリジナル版で見事な名唱を披露していたのがこのメイシー・グレイ。どこか懐かしくて温かなヴォーカルには当然ゴスペルの血が濃厚に染み込んでいて、BBOAの長老たちもこれを聴いて舌を巻いたに違いない。(北野)
小坂 忠
『People』 エピック(2001)
日本のソウルの元祖的な存在である彼は、ゴスペルなんて言葉がまだあまり浸透していなかった78年にゴスペル専門レーベルのミクタムを設立。現在まで精力的にその魅力を伝えるために〈ほうろう〉してきた。ひとつのスタイルに固執することなく、とことん風通しの良い多彩な共演歴もBBOAソックリ。(佐々木)
SOLOMON BURKE
『Make Do With What You Got』 Shout! Factory(2005)
BBOAと同様に〈生きる伝説〉たる彼もまた、近年はロック畑のアーティストとのコラボレーションが話題だ。取り上げるソングライターのかぶりも多く、ドン・ウォズのプロデュースによる本作ではヴァン・モリソン、ローリング・ストーンズなどのナンバーをゴスペル・ルーツのディープな歌唱でガッツリ歌い上げる。(野崎)
MEDESKI, MARTIN & WOOD
『End Of The World Party (Just In Case)』 Blue Note(2004)
『Go Tell It On The Mountain』で堅実なバックを務めていたのがジョン・メデスキー。ジャズばかりでなく、ブルース、ゴスペルなどのルーツ・ミュージックをエキセントリックに咀嚼した演奏が最強のジャム・バンドと呼ばれる所以かも。そういえば彼にはロッキン・ゴスペルな課外活動=ワードなんてのもありましたね。(北野)
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