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R&Bにもチカーノ時代が到来?

 ベイビー・バッシュ“Suga Suga”で知られる……なんて紹介より、今後は〈“Obsession(No Es Amor)”の人〉で十分になりそうだ。とはいえ、この旬のチカーノ・シンガー、フランキーJはもちろん一発屋でも二発屋でもない。数々のルチャ・ドールを輩出したメキシコはティファナに生まれた彼は、国境を越えたサンディエゴにてラップに親しみながら育ち、15歳からラテン・フリースタイルの世界で活動を始めたという根っからのアイドル・シンガーだ。97年にあのジェリービーンと契約するも、全米デビューの話が頓挫した後はクンビア・キングスに加入してラテン・リスナーの間で大いに名を馳せた。2003年の英語アルバム『What's A Man To Do?』でソロ・デビューを果たし、冒頭で触れた“Suga Suga”でより広い層に歌声を届けることに成功している。

 それから2年、間にヒスパニック盤の『Frankie J』を挿んで登場したのがセカンド・アルバム『The One』だ。先述の先行シングル“Obsession(No Es Amor)”の大ヒットを受け、すでに全米アルバム・チャート3位まで上昇した作品だけあって、サウンドの質感はオマリオンあたりをライヴァル視したメインストリームR&Bの王道そのもの。盟友ハッピー・ペレスをはじめ、マリオ・ワイナンズやブライアン・マイケル・コックス、スティーヴン・ラッセルらが素晴らしい楽曲を用意し、ルーニー・チューンズによるレゲトン・リミックスも収録している。そして、ロマンティシズムと爽やかな青さを湛えたヴォーカルの魅力は時代を選ばないはず。R&Bにもいよいよチカーノの時代がやってくるかもしれない。

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2005年05月12日 13:00

更新: 2005年05月12日 19:07

ソース: 『bounce』 264号(2005/4/25)

文/轟 ひろみ

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