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カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2005年04月13日 17:00

更新: 2005年04月14日 19:43

ソース: 『bounce』 263号(2005/3/25)

文/成田 佳洋

ロックもボサノヴァも、私にとっては何だって大切なの


フェルナンダ・ポルトさん(ブラジル代表)
  ブラジル特有のサウダージ感あふれるメロディーセンスとモダンなサウンドを聴かせるサンパウロ出身の知的美女。大学時代はクラシックのお勉強もしていたそうです

 南米最大のSF都市、サンパウロ。ドラムンベースにブラジル音楽の要素を採り入れ、日本でのドラムンベース人気再燃のきっかけともなったフェルナンダ・ポルト嬢の出身地として、これ以上ふさわしい土地もないだろう。その曲“Sambassim”はダンスフロアを盛り上げたばかりでなく、ポップスとしても通用するキャッチーな魅力を兼ね備えており、このジャンルに多くの目を向けさせる機会を提供、ブラジリアン・ドラムンベースを代表する1曲として世界的なヒットを記録した。ヘコヘコなどサンバ特有のパーカッションをサンプリングし、ボサノヴァを連想させるギターのバチーダが印象的なこの曲の成功は、ブラジルのクリエイターたちに国内の音楽を見直す機会をも与えたのではないかと思う(実際、その後こうした方向性の作品が激増する)。2003年にはファースト・アルバム『Fernanda Porto』をリリースし、作詞作曲、楽器演奏、アレンジといったほとんどを独力で作り上げ、そのマルチな才能が話題となった。

 それからわずか1年あまりのインターバルでリリースされた新作『Giramundo』。今作はロックやレゲエ調のトラック、さらにはピアノによる弾き語りのバラードまで多岐に渡る内容で、驚くべきことにドラムンベースはその一部分、一要素でしかない。曲作りの方法などに大きな変化があったのだろうか?

「前作に限ってはドラムンベースの要素が際立っていたけれど、私にとってはドラムンベースもリズムのひとつでしかない。ロックもボサノヴァも、私にとっては何だって大切なの」。

 もうひとつ今作を特徴づけているのが、生演奏の比重が大きく増していることだ。ブラジルの国民的アーティストであるシコ・ブアルキやセーザル・カマルゴ・マリアーノのほか、リヴィング・カラーのダグ・ウィンビッシュとウィル・カルホーンなど国内外のビッグネームも参加している。

「なんでも自分でやってきたから、今回のアルバムでやったようにほかのミュージシャンたちと自分の音楽を分かち合うというのは新しい体験だった。でも、やってみたらものすごく解放感があったの。ありとあらゆる音楽を、ありとあらゆる年齢層のミュージシャンたちと組んでミックスさせるというのは、私にとってなによりも居心地のいいものだった。それに私自身、前よりは少しオープンな人間になれたような気がするの。なんと言うか……冒険することもできるようになった……のかな。今はほかの人たちと組んでワイワイ作るほうが楽しい」。

 こうしたレコーディング環境の変化もあってか、本作はメロディー自体がより鮮明に浮かび上がった内容になっている。サウンドの処理に新世代らしいグローバルな感覚を感じさせる点は変わらないが、コンポーザーとしての彼女のブラジル性が、以前よりくっきりと現われているのだ。ということで、影響を受けたアーティストをブラジル国内外から2組づつ挙げてもらうと……。

「う~ん、そうねぇ、ジルベルト・ジルとカエターノ・ヴェローゾかな。海外だと、好きなのはアース・ウィンド&ファイアと……あとはポリス。変わってるでしょ(笑)。どうしてなのか自分でもわからないけど、とにかく好きなアーティストってバラバラなのよ、私の場合」。

 ワールドワイドな音楽シーンでも最高の評価を受けるブラジル人アーティストであり、その高度なインテリジェンスと深いブラジリダージを併せ持つジルとカエターノの名前が挙がったのには納得だが、海外アーティストのフェイヴァリットがこの2組とは、完全に意表を衝かれた! 彼女の音楽が今後さらに自由な形態に発展する可能性は、非常に高いといえるかも。

 さて、最後にそんな彼女にとって、母国ブラジルとはどんな場所なのか訊いてみた。

「ブラジルは……住んでいる人たちはそうお金持ちじゃないけど、エネルギーに満ちている。バイーアに行くと、人々がとにかく自由で幸せに暮らしていることに驚かされるわ。どうしてあんなに生命力に満ちているのか不思議なくらい。NYで暮らしたこともあるし、あちこちの町に滞在したこともあるけれど、〈生きる〉ということを実感させられるのは、やっぱりブラジルかな。でも旅は大好きよ。もっといろいろなところを見てみたいわ」。

 フェルナンダの旅はまだまだ続く。

▼フェルナンダ・ポルトの作品

▼フェルナンダ・ポルトが影響を受けたアーティストの作品

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