耳で聴いたピープル・ギャラクシー(2)
phat『色 -siki-』 東芝EMI(2002)
URのライヴに参戦&新曲で共演も果たしたサックス奏者、藤原大輔。トリオ時代のこのメジャー・デビュー作には、ジェフ・ミルズの〈反復〉の技法を自身の即興演奏に落とし込んでいく様がすでにありありと刻まれている。ディレイによって反復&歪曲し続けるサックスにソロが乗った時の緊張感は、いまでも十分な迫力!(原田)
AS ONE『Out Of The Darkness』 Ubiquity(2004)
ジャズやソウルに傾倒していたアズ・ワンことカーク・ディジョージオを一瞬にして虜にしたのが80年代末のデトロイト・テクノで、90年代初頭にUKで巻き起こったデトロイト・テクノ・リヴァイヴァルも彼による部分が大きい。感情の籠ったエレクトロニック・ミュージックを作る姿勢はURとも通じるはず。(ビグフォン)
ASIAN DUB FOUNDATION『Tank』 Labels/東芝EMI(2005)
「アルジェの戦い」のサントラを再演したり、カダフィ大佐を題材にしたオペラの作曲を手掛けたり、〈日常の闘い〉を標榜して現状にレジストする集団といえば彼らのことが思い浮かぶ。と思ったら、この最新作ではDrダスの手引きによって“Powerlines”のプログラミングにマッド・マイクが参加!(出嶌)
INNERZONE ORCHESTRA『Programmed』 Planet-E/Talkin' Loud(1998)
遠い果てまで飛び立っていくようなギャラクシー2ギャラクシーに対し、カール・クレイグにとっての宇宙は自己の内面にあった……ってこと? 外宇宙も内宇宙も実は繋がっていると思うんだけど。UR最初期の1曲となる“The Theory”はカールが設立したレトロアクティヴからリリースされていた。(出嶌)
DJ KENTARO『On The Wheels Of Solid Steel』 Ninja Tune(2004)
日本人初のDMC世界王者なれど、初オフィシャル盤はニンジャ・チューンから、そしてハウス・モードの名義KEM DJで〈METAMORPHOSE〉に登場……とあきらかにこっち側(どっち側?)の人なKENTARO。何といっても〈メタモ〉でも〈朝霧JAM〉でも“Hi-Tech Jazz”を2枚使いしたってことだけで100%支持(石田)
KRAFTWERK『Tour De France Soundtrack』 EMI(2003)
ホアン・アトキンスはラジオでクラフトワークを聴いて衝撃を受け、デトロイト・テクノを作り上げた。つまりデトロイト・テクノの源流のひとつはクラフトワークなのだ。それを証明するかのごとく、“Expo 2000”のリミックスにUR(しかも3ヴァージョン!)とDJロランドが参戦! 原曲を尊重しつつもUR色に染めた。(石田)
EMINEM『The Slim Shady LP』 Aftermath/Interscope(1999)
その鮮烈で独特なスタイルによっていまもなおデトロイトのヒップホップに色濃い影を落とし続けているというウィザード──ジェフ・ミルズが10年ぶりにその名前を用いてプレイした際、会場にはエミネムやキッド・ロックの姿もあったとか。彼らもキッズ時代にその魔法にかけられたクチだったのだろう。(出嶌)
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