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特集

宇宙とジャズとデトロイト……そのスピリチュアルな関係性を考察する SPACE ODYSSEY

カテゴリ : ピープルツリー

掲載: 2005年03月24日 12:00

更新: 2005年03月24日 18:53

ソース: 『bounce』 262号(2005/2/25)

文/若杉 実

 近ごろ一部のテクノ人が、トライブをはじめとするデトロイトのジャズやソウルといったルーツにも食指を動かす傾向にあるという。〈URのルーツ、トライブにあり〉とここで触れておくと、bounce的にはかなり〈思うツボ〉かもしれない(笑)。でも、そこまで言い切るのには個人的に抵抗がある。確かに“Hi-Tech Jazz”なんか『Space Odyssey』(トライブ~デトロイト・エクスペリメントのマーカス・ベルグレイヴ作)の横に並べて〈そうだったか!〉と目を丸くさせたいところ。しかし音に直接的な関係は見られない、というのが個人的な意見だ。

 よく指摘されるようにギャラクシー~ことマッド・マイクの音楽観はフュージョン志向が強く、荒削りなトライブの諸作とはちょっと違う気がする。URを語る際の枕詞となっている〈黒人特有の骨太なグルーヴ〉云々も、あくまでテクノ方面に限定したもので、ジャズの耳だと洗練された感じは否めない。ルーツものに注目しているのは、むしろUR以降の世代、セオ・パリッシュやジョン・アーノルドあたりが中心なのでは。よりブラッキーにしてスピリチュアル。こういった感覚を強めたDJの作品は、比較的トライブの音源と違和感なく楽しめる。

 トライブとは、そもそも〈フュージョンの波に乗ら(れ)なかった70年代ジャズ・レーベル〉で、コルトレーン、ファラオ、サン・ラーといった演奏家の思想に薫染しつつ独自に発展したアーティストの集まりだから、精神の深化こそスキル向上に繋がると信じて活動していた。URにだってそういう考えは当然ある。ただ、黒人音楽のエレクトロニカ的解釈で取り組んでいた初期のセオや、アンプ・フィドラー、アイロといったネオR&B系の出発点には、URが築いたダンス・ミュージックかつテクノロジーの結晶としてのテクノ・ミュージックの環境がすでに用意されていたわけで、そのぶんトライブのインディペンデント精神、ベリー・ゴーディJr(モータウン)の開拓精神のほうに学ぶべき気持ちを集中しやすかったのではないだろうか。

▼本文に登場するアーティストの関連作品を紹介


ジョン・アーノルドの2003年作『Neighborhood Science』(Ubiquity)

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