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特集

UNDERGROUND RESISTANCE(3)

カテゴリ : ピープルツリー

掲載: 2005年03月24日 12:00

更新: 2005年03月24日 18:53

ソース: 『bounce』 262号(2005/2/25)

文/池田 義昭

闘うためのシステム

 URがベースとするのは自動車産業で知られる街、デトロイトだ。ただ、URが活動を始めた頃には、産業が隆盛を極めた時代は過ぎ去っており、街は閑散としていた。そこで現実以外に彼らが向き合うものはなかったのかもしれない。彼らは対峙した環境に安住しようとも、そこから逃げ出そうともしなかった。彼らは、その場で変化を求め、音楽による革命を始めた。自分たちの音楽、テクノ・ミュージックによって。アグレッシヴで攻撃的なテクノはそういった背景から生まれたものではないだろうか。テクノ・ミュージック、それは彼らにとって以下のようなものだった。

〈~Techno is a music based in experimentation ; It is sacred to no one race ; It has no definitive sound.~〉(彼らのウェブサイトにある声明から抜粋)。
 彼らは変化を求めたのと同時に、進化も求めた。既存のシステムに乗ることではなく、自分たちで新たなるシステムを作ることを選んだ。ハード・テクノを作り出していた彼らのメッセージは、デトロイトという街とは切り離せないものだ。

 話が前後するが、91年に彼らは自分たちの新たなるシステム作りを実践に移した。自分たちのレコードを流通させるため、ディストリビューター=サブマージを設立。現在、そのオフィスには同名のレコード・ショップがあり、スタジオもある。彼らはみずからの手で生み出した音源をみずからの手で流通させ、世界へと送り込んでいる。サブマージは現在ではディストリビューターとしてだけでなくレーベルとしても機能し、URはそのサブマージの中にあるひとつのレーベルである。その他にもエレクトロファンク、レッド・プラネットなどデトロイト・テクノを代表する良質でアンダーグラウンドに根差したレーベルがサブマージには名を連ねている。良質なデトロイト・テクノが欲しければ、サブマージのレコード・ショップに行くか、彼らのウェブサイトにアクセスするか、もしくはサブマージがレコードを卸しているショップに行けばいいのだ。

 さて、ハード・テクノなサウンドをリリースする一方、同時に現在のURを知るうえで重要となるシリーズがスタートしたのもこの頃。91年の“Nation 2 Nation”を起点とする〈~2~〉シリーズがそれだ。コズミック・ソウルと称される、壮大なる宇宙への果てなき思いを音に託したかのようなロマンティシズムに溢れたソウルフルなサウンドは、URの新たなる側面を感じさせるものでもあった。翌92年に彼らは“World 2 World”をリリースするが、同シングルのリリースを最後にジェフ・ミルズがURを脱退。その後、ジェフはDJ、そしてソロ・アーティストとしての活動を開始。一方、ひとりになったマッド・マイクは、93年に今回のギャラクシー2ギャラクシーのアルバム『A Hi-Tech Jazz Compilation』の布石ともいえる2枚組の12インチ・シングル“Galaxy 2 Galaxy”をUR名義でリリース。そこに収録された“Hi-Tech Jazz”は世界中でいまなお愛され、これからも名曲として歴史に残っていく曲であろう。

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