INSTRUMENTS【インストゥルメンツ】 ブルースをドス黒く彩る魅惑の楽器たち
ブルースを語るときに外せない楽器を紹介しろって? うーんと、まずはハープかな。ブルースを代表する楽器といえばコレだよ。そんで、バンド・サウンドに対応するために発案されたアンプリファイド・ハープ(マイクとアンプを使う演奏スタイル)の名手がリトル・ウォルター。彼は50年代のシカゴを代表するハーピストだね。バディ・ガイとのコンビで数々の名演を残したジュニア・ウェルズも最高だし、サニー・ボーイ・ウィリアムソンも……って文字数が足んない!! あとね、スライド・ギターもマスト。円柱型のバーをギターのネック上で滑らすことで独特の音色を鳴らすことができるんだけど、かつてはウィスキーのボトルを使用していたことから〈ボトルネック〉とも呼ばれるんだ。代表選手は、50年代に活躍したエルモア・ジェイムス。デュアン・オールマンも彼からの影響を受けてるね。その他のエルモア直系のスライド・ギタリストとしてはホームシック・ジェイムスやジョン・リトルジョンあたりが知られるところ。そうそう、ブルースじゃウォッシュボード(洗濯板)も立派な楽器とされてるし、タライにモップの柄の部分をくっつけたウォッシュタブ・ベースなんてヘンテコ楽器もあるね。話はズレるけど、楽器全部をひとりでやっちゃうワンマン・バンドなんていう大道芸的スタイルもブルースのおもしろさのひとつ。渋くてドロ臭いだけがブルースじゃないんだよね。
▼文中に登場したアーティストの作品を紹介。
ウォッシュボード奏者の代表格=ウォッシュボード・サムの編集盤『Complete Recorded Works Vol.4』(Document)
ワンマン・バンドの代表格=ジョー・ヒル・ルイスの編集盤『The Be-Bop Boy』(Bear Family)