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特集

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2005年02月03日 16:00

更新: 2005年02月04日 11:52

ソース: 『bounce』 261号(2004/12/25)

文/秋山 尚子、石田 英稔、桑原 シロー、小出 斉、ポキ、吉田 淳

明日から使えるブルース偉人伝&キーワード辞典

(1) まず聴くべき一枚 (2) 活動拠点 (3) バイオグラフィー  (4) こちらもオススメ

ALBERT KING【アルバート・キング】

(1) 67年作『Born Under A Bad Sign』(Stax)
(2) ミシシッピ
(3) パイプとフライングVと少ない音数が醸し出す存在感こそが〈キング〉たる所以か。ミシシッピ出身でセントルイスなど各地を転々とし、67年にはサザン・ソウルの名門レーベル=スタックスと契約。モダン・ブルースにソウル~リズム&ブルース、ファンクのエッセンスを注入した独自のモダン・ブルース・スタイルを確立し、多くのフォロワーを生んだ。BB・キング、フレディ・キングと共に〈3大キング〉として名を馳せるものの、他の2人と比べて正当に評価される機会は少ないが、ロック界での人気は高く、“The Hunter”をはじめとするアルバート曲のカヴァー率は3大キング中トップである(と思う)。煙にまみれたウェットでスモーキーなトーンの歌声も大きな魅力で、ギターのフレーズ同様に歌心に溢れたものだ。
(4) リトル・ミルトン、スティーヴィー・レイ・ヴォーン(石田)

B.B.KING【BB・キング】

(1)65年のライヴ盤『Live At The Regal』(MCA)
(2) メンフィス~LA
(3) モダン・ブルースの超偉人。チョ-キング・ヴィブラートによってやるせないフィーリングを表現するそのスタイルは〈スクィーズ・ギター〉と呼ばれ、エレクトリック・ギターを武器にして世界と戦う多くのロック・ギタリストたちにアイデアとインスピレーション、そして勇気を与えた。貪欲な音楽家でもあるBBだが、ブルースのアーバン化のために枠を逸脱することもしばしば。周囲を驚かせたりすることも多かったが、決して挑戦をやめることはなかった。そんな彼の貢献によってブルース・ミュージックの玄関は以前よりも広くなったのである。近年でもエリック・クラプトンとの『Riding With The King』など傑作を連発。映画「ライトニング・イン・ア・ボトル」でも大トリで登場し、圧倒的な存在感で宴を締めくくっている。
(4) アルバート・キング、バディ・ガイ(桑原)

BESSIE SMITH【ベッシー・スミス】

(1) 編集盤『The Collection』(Columbia)
(2) NY
(3)〈ブルースの女帝〉と呼ばれた、戦前のクラシック・ブルースを代表する名シンガー。ふくよかでありながら艶と陰影のある歌声が、とにかく極上。1898年生まれの彼女がデビューしたのは1923年のことで、1937年に亡くなるまでに170曲近くの録音を残し、戦前女性シンガー最大のスターとなった。バックを務めたのはルイ・アームストロングのコルネット奏者やベニー・グットマンのクラリネット奏者など一流ジャズメンたちで、都会的で粋なサウンドをバックに豊かな歌唱を聴かせた。なかでも“St. Louis Blues”“Young Woman's Blues”は必聴ものの名唱で、ダイナ・ワシントンやビリー・ホリデイからジャニス・ジョプリンにまで影響を与えた。
(4) マ・レイニー、アルバータ・ハンター(吉田)

BLIND LEMON JEFFERSON【ブラインド・レモン・ジェファーソン】

(1) 編集盤『King Of The Blues 1』(Pヴァイン)
(2)テキサス
(3) 戦前のカントリー・ブルースを代表する地域としてブルースの中心地のひとつに挙げられるテキサス。彼の地におけるブルースの祖となる、“Match Box Blues”“Jack O' Diamon”といった名曲を残した盲目のブルースマン。1897年に生まれ、1929年に亡くなるまでに100曲以上の録音を残した巨人である。やや高めのヴォーカルとメロディアスで独特の跳ね具合を持った超人的なギタープレイが特徴。その影響は、同時代のブルースマンのみならず、戦後におけるカントリー・ブルースの巨人となるライトニン・ホプキンスにも強烈な影響を与えている。ロック・シーンではボブ・ディラン、ポール・マッカートニーなども彼の曲をカヴァーしている。
(4) ブラインド・ブレイク(吉田)

BUDDY GUY【バディ・ガイ】

(1)編集盤『I Was Walking Through The Woods』(MCA)
(2) シカゴ
(3) いちばんの魅力は、その直情的かつ激情的に咆哮するスクィーズ・ギターと、優しく、艶めかしく語りかけるようなトーンの妙。多くのギタリストが憧れ、そして思い描くブルース・ギターのすべてが彼のプレイに凝縮されている。50年代後半にはマジック・サム、オーティス・ラッシュらとともにシカゴ新世代の旗手としてシーンを牽引。ブルース・ギターの新たな可能性を提示し、ロック・ギタリストたちにも大きな影響を与えた。コブラ、チェス、ヴァンガードといったブルースの名門レーベルに数多の傑作を残しており、その作品の多くで聴くことのできるエモーショナルなプレイの素晴らしさはいまでも色褪せない。特に長年の相棒であるジュニア・ウェルズとの65年昨『Hoodoo Man Blues』は、バンド・サウンドの魅力が結集された傑作。90年代に入ってからはシルヴァートーンに移籍し、なお第一線で活躍中。
(4) オーティス・ラッシュ、ジミ・ヘンドリックス (石田)

CAUSE OF DEATH【死因】
他人の女にちょっかいを出した末に毒殺されたロバート・ジョンソン。眉間のキズは伊達ではない、ケンカで死んだリトル・ウォルター。因果応報? リロイ・カーは酒の飲みすぎで肝臓を壊し、トミー・ジョンソンもアル中に。寒風吹きすさぶシカゴで凍死したといわれるブラインド・レモン・ジェファーソン、交通事故の後処理の遅さから亡くなったと思われるベッシー・スミス、JB・ルノアーは無念の死。エルモア・ジェイムス、マジック・サムの心臓発作は労災だ。(小出)

CHARLES BROWN【チャールズ・ブラウン】


(1) 編集盤『Driftin' Blues』(EMI)
(2) LA
(3) 毎年どこかで流れるクリスマス・ブルースの定番“Merry Christmas Baby”(オーティス・レディングからティーン・ポップのハンソンまでがカヴァー!)などで知られる、40~50年代の西海岸を代表するシンガー/ピアニスト。甘口なバラード感覚があり、時にジャジーなスタイルは〈チャールズ・ブラウン・マナー〉と総称されるほど多くの人に真似られた(レイ・チャールズもその一人)。1924年テキサス生まれ。40年代半ばにジョニー・ムーアズ・スリー・ブレイザーズの看板歌手となり、“Driftin' Blues”などの大ヒットを飛ばす。49年にソロとして独立。スリー・ブレイザーズ時代を含め、20曲以上のヒットを放っている。90年代も勢力的に活動したが、99年に亡くなった。
(4) エイモス・ミルバーン、セシル・ギャント(小出)

CHARLEY PATTON【チャーリー・パットン】

(1) 編集盤『The Best Of Charley Patton』(Yazoo)
(2) ミシシッピ
(3) 〈デルタ・ブルースの創始者〉と呼ばれる伝説の男。1885年、ミシシッピ生まれ。1929年6月、パラマウントにて初レコーディング。同レーベルに40数曲の録音を残した。そのレパートリーは幅広く、ゴスペル・ナンバーやラグタイム・ナンバー、ノヴェルティものなども歌っている。また、妻であるバーサ・リーとのデュエット曲も多数。34年にはヴォキャリオンに30曲ほどの吹き込みを行うが、同年に心臓病で死去した。彼の荒々しくてプリミティヴな歌声と低音弦をパーカッシヴに弾くギター奏法の組み合わせは、〈これぞデルタ・スタイル!〉というもの。とにかく放たれる空気が重いが、そこが実に魅力的だ。また、酒好き&女好きだったというその性格は歌の響きにもくっきりと現れている。
(4)サン・ハウス、ロバート・ジョンソン(桑原)

CROSSROADS【クロスロード】
ロバート・ジョンソンはミシシッピ・デルタの十字路で悪魔に魂を売り、それと引き換えに誰も真似できないギター奏法を授かった――あまりに有名すぎるブルース神話だが、ウォルター・ヒルが監督を務めた映画「クロスロード」(86年)ではその神話がモチーフにされているので、興味のある方はぜひ。(桑原)

ELMORE JAMES【エルモア・ジェイムス】

(1) 編集盤『The Sky Is Crying -The History Of Elmore James』(Rhino)
(2) シカゴ
(3) ボトルネック・ギターの名手として知られ、泣き叫ぶようなスロウ・ブルースから荒々しく畳み掛けるように豪放な曲までをその強烈なギタープレイで存分に聴かせてくれる。ギター同様そのヴォーカルも痛々しくて緊張感たっぷりだが、バックのサウンドには(南部臭さを残しつつも)都会的な要素も採り入れていた。ミシシッピ出身の彼は、ロバート・ジョンソンの持ち歌としても知られる名曲中の名曲“Dust My Broom”で51年にデビュー。63年に亡くなるまで、“The Sky Is Crying”“Shake Your Moneymaker”など多くの名曲を残した。そのため数多くのエルモア・フォロワーが存在するが、なかでも直接的なカヴァーも含め、エルモアの直情的なスタイルを受け継いで70年代に活躍したハウンド・ドック・テイラーが有名だ。
(4) JB・ハットー(吉田)

HOUND DOG TAYLOR【ハウンド・ドッグ・テイラー】

(1) 71年作『Hound Dog Taylor And The Houserockers』(Alligator)
(2) シカゴ
(3)ブルース界でもっともエキセントリックなギタリストといえば、この〈猟犬〉。彼が残した音源はわずか4年分ですが、ギター×2+ドラムスという変則トリオ編成から繰り広げられる危険で異端なブルースによって、70年代のシカゴ・シーンのなかで大きな注目を集めました。そのサウンドを一言で説明すると、超攻撃的でエグイ!! グロイ!! ギラギラと黒光りするグルーヴに、歪みまくったラフな演奏。なかでもスピード感溢れるブギ・ナンバーは強烈そのもので、ハードでダーティーなサウンドがブルースのもうひとつの魅力を教えてくれます。彼の作品をどうしても世に出したかったブルース・イグロアが、そのためにアリゲーターを設立してしまったというエピソードもあまりに有名。
(4) リル・エド&ザ・ブルース・インペリアルズ、スモーキー・ウィルソン(秋山)

HOWLIN' WOLF【ハウリン・ウルフ】

(1) 2 in 1のリイシュー盤『Moanin' In The Moonlight/Howlin' Wolf』(MCA)
(2) シカゴ
(3) 50年代にはマディ・ウォーターズと並ぶチェスの看板としてヒットを連発した王様。マディの直球な魅力に対して荒削りで豪快な〈やさぐれ感〉が強く、さながら〈裏番長〉的な迫力が彼にはある。だって、名前からしてコレですから……。その浪曲師のごとくしゃがれた独特のヴォイスだけでなく、楽曲も強烈なリフを多用したクセの強いものが多く、“Killing Floor”“Spoonful”“Smokestack Lightnin'”などブルース・ファンならずとも聴き覚えのあるインパクトの強い名曲を多数残した。黄金期は、相棒のヒューバート・サムリンとタッグを組んだ50年代から60年代初頭にかけて。この時代の作品はクセになったら最後の依存症モノだ。ちなみに、マディ・ウォーターズ『Electric Mud』の上をいくへヴィー・サイケデリック・ロック・ブルースの隠れ名作『The Howlin' Wolf Album』(69年)のリイシューを求む!
(4) ソニー・ボーイ・ウィリアムソン、マディ・ウォーターズ(石田)

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