人の生きざまの数だけスタイルがあるブルース……だけど、まずは主要スタイルをチェック!!
[PRE WAR BLUES]戦前ブルース。アコースティック・ギターによるシンプルな弾き語りがこの時代のブルースのスタイルで、地域によってそのサウンドも異なります。決して良好とはいえない音質の向こうからドロドロとしたエキスが溢れ出すこの時代のブルース。渋いですが、聴くほどに効く魔法のサウンドがいっぱい! まずは、悪魔と取り引きした代わりに驚異的なギター・テクニックを手にしたなんていわれているロバート・ジョンソンを聴いてみましょう。
[CHICAGO BLUES]50年代に全盛を迎えたシカゴ・ブルースは、シカゴという大都市と40年代に南部からやってきた移住者たちが出会ったことで生まれました。代表選手はなんといってもマディ・ウォーターズとハウリン・ウルフでしょう。エレクトリックなバンド・スタイルによるラフなサウンドをバックに吠えまくった両者。そのカッコ良さにシビれた若者のなかには、ローリング・ストーンズやヤードバーズなどでその後のロックの歴史を作ることになるイギリスの若者たちもいました。
[MODERN BLUES]かつてなく洗練されたスタイルによってその後のブルースの流れを変えてしまった50年代のBB・キング。モダン・ブルースと呼ばれるスタイルは、BBが切り拓いた道筋をさらに押し進めたものと考えればわかりやすいでしょうか。60年代に入ると、ソウルやファンクなども呑み込みながらまったく新しい形のブルースも誕生します。戦前ブルースのドロリとした味わいも美味ですが、アーバンで聴きやすいモダン・ブルースもなかなかですよ。
[COUNTRY BLUES]戦前のブルースは大方カントリー・ブルースだったわけですが、当時活躍していたブルースマンは、50年代末になると突如脚光を浴びるようになります。その後押しをしたのが、白人たちによるカントリー・ブルース・リヴァイヴァルの流れ。ミシシッピ・ジョン・ハートやライトニン・ホプキンスといった方々も突然引っ張り出されることに。素朴でシンプル……だけじゃない、味わい深い魅力が詰まったカントリー・ブルース。おひとついかがです?
[AND MANY MANY MORE...]ブルースにはこの他にもさまざまなスタイルがあります。1920年代に華開いたクラシック・ブルースはジャズ楽団をバックにした女性シンガーたちがその歌声を聴かせたもので、ベッシー・スミスがその代表格。また、南部から西海岸に移住した黒人たちが生み出した小粋なクラブ・ブルースはウェストコースト・ブルースと呼ばれ、チャールズ・ブラウンなどは大きな影響力を誇りました。ローウェル・フルソンの66年曲“Tramp”を元祖とするファンク・ブルースはジェイムス・コットンらによって広められ、南部の港町=ニューオーリンズではあらゆる文化がゴッタ煮状態となったこの地そのままのユニークなアーティストが数多く輩出され……と、複雑な文化的背景や音楽的な影響関係からユニークな音楽地図を描いてきたブルース・シーン。な~んて難しいことは抜きにして、次のページへお進みください……。
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