ノーウェイヴの延長線上にあるNYの〈ディスコ・パンク〉ムーヴメント
〈NEW〉の入り込む余地もないほど徹底した〈NO〉──非音楽家たちによる歴史的破壊美を見事に捉えた、ブライアン・イーノのプロデュースによって78年に発表されたコンピ『No New York』は、ジェイムス・チャンスのコントーションズ、ティーンエイジ・ジーザス&ザ・ジャークス、マーズ、アート・リンゼイのDNAなどを収録した危険印の教典。さらに拡がる〈NO〉の波は、類い希な吸収力をもってファンク、ジャズ、パンク、ダブなどを消化、異形のディスコ・ミュージックとしてその姿を露呈した(最近復活したZEの諸作品が好例)。
さらに、ESG、リキッド・リキッド、コンクらによるヒップホップ誕生前夜にも立ち会った〈NO〉は、現代音楽とも融解し、浮遊するチェロイスト、アーサー・ラッセルの前衛をダンス色に染め直したりもした。その後も決して収縮することのないこの波は、ジョン・ゾーンを中心とするダウンタウン・フリー・ミュージックやソニック・ユースなどにも影響を与え、NYの裏音楽としていまなお、破裂→分断→衝突を繰り返し続けている。
その新たな破裂点として、近年の〈ディスコ・パンク〉、とりわけDFAの活動は〈NO〉を良しとする風潮さえもスタイリッシュにぶった斬る、現代的感覚を伴った〈NO〉の実践。熱を失ったパンクと刺激を失ったディスコに光を取り戻すべく作り込まれたDFAのサウンドは、NYの先鋭と無調のアートがいっぱいに詰まったダンス革命なのである。
▼文中に登場するアーティストの代表作を紹介