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特集

LEAN BACK Vol.2――キーワードで振り返る2004年

カテゴリ : スペシャル

掲載: 2004年12月27日 11:00

更新: 2004年12月29日 12:28

ソース: 『bounce』 261号(2004/12/25)

文/粟野 竜二、石田 靖博、大石 始、木村 優宏、駒井 憲嗣、武山 秀丈、土屋 恵介

ニューヨーク・カオス
 ここ10年のUSロック・シーンを俯瞰してみると、トレンドを発信する主要な都市が微妙に推移していて興味深い。シアトルしかりシカゴしかりである。しかしここ数年、その手綱を握っているのがNY。ブラック・ダイスらのように既存のロック・バンドの形すら残っていない変わりダネから、グラムの過剰進化形であるシザー・シスターズまで、いずれもが情報のジャングルを自由なコース取りで歩きながら、セールスというゴールに辿り着いている。そんな土壌も、時代の流れと闘い結果を残してきたソニック・ユースのような存在があってこそ。今後も増え続ける情報量に比例して、NYのロック・バンドはいっそう逞しくなっていくに違いない。(武山)

ハードコア・リボーン
 アンダーグラウンド出身のバンドたちがよりメジャーな展開を見せ、注目を集めた1年だった。カオティックな感覚はそのままに、より〈唄〉へと接近したディリンジャー・エスケイプ・プラン。エピタフへと移籍したコンヴァージ。既存のカテゴリーに収まり切れない壮大なスケールの作品を発表したアイシス。ファンクネスを前面に打ち出して変貌を遂げたQアンド・ノットU。どのバンドにも共通しているのは、ハードコア・スピリットを保ったまま従来のファンの支持を失うことなく、認知度を拡大させたこと。2005年もこの流れは続くのか? それとも、揺り戻し的に地下回帰するバンドが出てくるのか? いずれにせよ、今後もこのシーンからは目が離せない。(粟野)

ブルース生誕101年
 その正誤はともかく、ブルースが〈発見〉されてから100年目を祝ってかつてないブルースの再評価ムードがアメリカを揺り動かした2003年。その波は1年遅れでここ日本にも上陸した。マーティン・スコセッシが舵取り役を務めたシリーズ映画〈THE BLUES Movie Project〉の各作品がそのムードを牽引した形になり、関連作品/サントラも大きな注目を集めることに。また、エリック・クラプトンやエアロスミスといった大物たちがブルース・カヴァー・アルバムをリリースしたことも追い風となった。2005年初頭には〈THE BLUES Movie Project〉のシメを飾る「ライトニング・イン・ア・ボトル」の日本公開も決定。日本でも、もう少しこの余波が続きそうだ。(大石)

ポスト・リゾート・ミュージック
 単なる〈リゾート音楽〉ではなく、異世界旅情や観光的でもない、独自のヴァイブを生み出しているアーティストたちが台頭した2004年。なかでもK.P.M.やSUGARHILL DOWNTOWN ORCHESTRA、bonobosといったバンドたちによるレゲエ、カリプソ、ダブの採り入れ方は実にカジュアルで肩の力が抜けているし、A.S.Pやモダーン今夜、Asa festoonが得意とするジャズ/ラテン・フレイヴァーも、〈スピリチュアル〉なんて言葉がかすむくらい、屈託なく開放的に響いていた。彼らの多くが大阪から登場していることや、〈Love Sofa〉や〈Plants Night〉といったクロスオーヴァーなイヴェントの活況は、そのヴァイタルなサウンドと決して無関係ではないだろう。(駒井)

マッシュアップ
〈mash up〉を辞書で調べると〈潰す、どろどろにする〉とか出てくる。そう、手っ取り早く言えばマッシュアップとは〈大ネタ同士の交配〉である。ここ最近盛り上がり倒すエレクトロ・ディスコ界隈ではDJプレイのキモとなる大ネタやキラー・チューンをいかにヒネってプレイするか、あと単純に昔のレコードだとビートが弱いといった問題を解決するための現場主義的かつイリーガルな発想から生まれたため、当然著作権といった大人の理論はノー眼中! ということでリリースは白盤メイン、フロアでは耳タコだが正規リリースはほとんどないという状況は当然の帰結なのだ。この路線を世に知らしめた2メニーDJsですら正規盤が1枚しかない(ミックスCD自体は10数枚!)わけだし。最近はスペース・カウボーイのようなマッシュアップ的発想のカヴァーも発生しているが、公式共演盤まで〈マッシュアップ〉と括られると少し意味が違うような気も……。(石田靖)

メロコア新世代
 多様化するパンク・シーンにおいて、より音楽性を追求していくリスナーもバンドも多いだろう。次なるステップとして、よりコアなものをめざす者もいれば、パンクという枠に囚われないサウンドをめざす者もいるわけだ。2004年は10-FEET、ELLEGARDENの躍進ぶりもあるが、シーンの広がりはさらなる可能性を見せてくれた。DOPING PANDAやFRONTIER BACKYARD、さらには打ち込みからバンド・サウンドをめざした逆パターンのCUBISMO GRAFICO FIVEなど、ポップ・センスとアイデアには目を見張るものがあった。メロディー感がたまらないCOMEBACK MY DA-UGHTER、独自のセンスをもつthe band apart、急成長エモ・バンド、HOLSTEIN。最後に、新世代のメロディック・コアを聴かせたNOB(R.I.P.)の存在も忘れてはならない。(土屋)

UKブライテスト・ホープ
 2004年、外国勢やクラブ系が優勢のなか多くの新人バンドが、例えば、キーンは圧倒的なメロディーで、22-20sは〈ロックンロール・リヴァイヴァル〉を跳躍台にしたモダンなブリティッシュ・ビートで、フランツ・フェルディナンドやオーディナリー・ボーイズは英国伝統のヒップなポップ・バンド・マナーで、カサビアンは土着的な雑食性で、ノックダウン寸前の〈ブリティッシュ・ロック〉にふたたびファイティング・ポーズをとらせた。2005年もブロック・パーティー、デッド60's、ディパーチャーなどの有望株が待機中。サウンドも多様化するなか、いまだ誰も見たことがないような〈カウンター・パンチ〉を放つべく、新人が活況を生み出していくはず。(木村)

レゲトン
 ソカと比べると確かに地味ではあったものの、一部で噂となっていたのが、プエルトリコで生まれたストリート・ミュージック、レゲトン。ダンスホールやヒップホップをカリブの熱風でコンガリと焼き焦がしたようなそのサウンドはここ数年のカリブではひとつのブームとなっており、その勢いはNYにも上陸。代表格のダディ・ヤンキーがN.O.R.E.“Oye Mi Canto”に客演したり、アイヴィ・クィーンがショーン・ポール“I'm Still In Love With You”でお馴染みサーシャとのコンビ・チューンを発表したりと、その動きも徐々に見えやすいものになってきている。2005年の台風の目となるか?(大石)

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