大統領選挙で見せた、アーティストによる〈変革〉を求める積極的な動き VOTE FOR CHANGE
アートと政治は相容れない……なんていうのはひと昔前のこと。いまやオヤジ・ロッカーから若者パンクスまで、今回の大統領選に関しては、ブッシュを再選させるな!発言をしまくっている。賛同できないファンの気持ちなんて構ってらんない、ブーイングが恐くてなにができるか!ってのは、以前ディクシー・チックスが受けたバッシングを見ればあきらかだし、それこそまさにロック的アティテュードというやつだ。
グリーン・デイやフー・ファイターズ、ランシドも参加の〈Rock Against Bush〉のコンピ・シリーズが堂々とリリースされたり、ベイビーフェイスが旗を掲げ、メアリーJ・ブライジ、ミッシー・エリオット、ブランディ、モニカ、ワイクリフ・ジョン、イヴ、アシャンティらが大集合して“Wake Up Everybody”を歌ったり、意外なあの人この人まで(R.E.M.、P・ディディ、エミネムなどなど)が一枚噛んでやろうって状況になってきた。
しかしなんといってもいちばんの驚きは、ボスことスプリングスティーンの参戦に勝るものはない。スプリングスティーンといえば、勝手な解釈で“Born In The U.S.A.”を愛国歌として政治に利用された苦い経験があるだけに、みずから政治に絡んでくるなどというのは、よっぽど現在の状況が見てられなかったわけで、よっぽど本気ってこと。彼が主宰する〈Vote For Change〉のツアーにはR.E.M.やパール・ジャムらが参加し、激戦州をまわって重点的に攻め上げた。そしてついにはウィスコンシンでのケリー候補の演説会にまでボスは登場。1曲歌ってからケリー氏を呼び入れるという大役を買って出た。現大統領が再選を果たす結果となったが、大衆の意識に大きな〈変革〉を与えたことは間違いなさそうだ。
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