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カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2004年12月16日 16:00

更新: 2004年12月16日 17:45

ソース: 『bounce』 260号(2004/11/25)

文/出嶌 孝次

トリック・ダディの本邦初インタヴュー!


「マイアミのヒップホップは、いつだって気候と同じでホットだぜ! ルークの色はもちろん濃かったし、昔も今も多くのアンダーグラウンドなヤツらがシーンを成長させている。いまはピットブルが凄い勢いで人気を博してるよな。もちろんトリーナも頑張ってるぜ。今年はMTVのアワードもここで行われたし、メディアの目がまたマイアミに向けられてるのを感じてるよ」。

 と、のっけから観光部長のようなレペゼン発言をカマすのはトリック・ダディ。日本ではまったく知られていないが、キャリア10年を迎える同地のヴェテランで、地元シーンの親玉的存在でもある。そのラップはラフでタフ。なんせ、親父はギャング、しかも27人兄弟(!)という凄まじい環境で育ち、ラップを始めたのは獄中という筋金入りのサグ野郎なのだから。ただ、そもそも彼にデビューへの道を開いたのはルークだった。

「ルークの“Scarred”にリード・ラッパーのひとりとして参加したのが最初のレコーディングだよ。それがヒットして、オレのクイック・フロウが話題になったんだ。その後でテッド・ルーカスに出会って、現在のスリップン・スライドと契約したのさ」。

 トリック・ダディ・ダラーズ名義の初アルバム『Based On A True Story』は97年にリリースされている。「アレはマイアミ外の人間には理解できなかったみたいだけどな」とトリック自身は振り返るが、名前を現在の形に縮めた翌98年の『www. thug. com』から“Nann Nigga”(トリーナをフィーチャー)がスマッシュ・ヒットを放ち、トリックの名は一躍全米に轟く。その後の圧倒的な活躍はサウス・ファンならずとも御存知のとおり。“Shut Up”などのフロア・キラーからメロウ・チューンまで、彼のラップは実にヴァーサタイルなものだ。

「俺はストリート・ニガであって、すべてのアイデアは〈Keep It Real〉のもとで生まれるんだ。サグとビッチたちの掛け合いスタイルだって、ストリート・シーンを反映したものなのさ。いまはメジャー契約のメリットもたくさんあるけど、頭でっかちになって失敗していくヤツらも山ほど見てる。そうならないように気をつけてるよ。謙虚なんて言葉はオレには似合わないけどな」。

 で、案外マジメな彼が「軽く1年はプロダクションとレコーディングに費やした」という通算6作目『Thug Matorimony : Married To The Streets』がまた凄い。すでに本国ではポップ・チャート2位まで上昇した過去最大のヒット作となったわけだが、そんな数字以上に、聴けば一発で伝わるその迫力といったら! オジー・オズボーンのクラシック“Crazy Train”をサンプリングした先行シングル“Let's Go”を筆頭に、その完成度はすこぶる高い! ブリザード・オブ・トリック・ダディ!!

「シングルへのイイ反響も聞いてるし、オレも嬉しいよ。こうして新作を出す時に、ベストな作品だと自負できるのはいいことだぜ。新たなチャレンジを試みた姿勢も見え隠れしてるはずだ。オレもいろいろ経験して、やっと人間的にも成長したと実感してるから、そういったフィーリングをアルバムに託したかったね」。

 充実した仕上がりを前に、「タイトルどおり、オレはストリートそのものなんだ」と熱っぽく語るダディ。ちなみに「アタマのいい女が好きだ」と話しつつ、「日本の女性たちは超セクシーだって聞いたことがあるから、一度この目で確かめないと(笑)」とも話してくれたので、この『Thug Matorimony : Married To The Streets』を聴きながら初来日を楽しみに待つとしよう。

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