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特集

力強く復活を果たしたジャ・ルール

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2004年12月09日 12:00

更新: 2004年12月09日 17:23

ソース: 『bounce』 260号(2004/11/25)

文/渡辺 深雪

STRM IS OVER


 50セントとのビーフで評価がガタ落ち、アンサー・ソングがぎっしり詰まった報復アルバム『Blood In My Eye』のセールスも不振……と、そのMCとしてのキャリアすら危ぶまれたジャ・ルール。しかしここ最近またジャ周辺が盛り上がりつつある。ファット・ジョーとジェイダキスという文句ナシの客演を迎えた(好マーケティング!)ストリート・シングル“New York”も好調、そして例のジェイ・Z&R・ケリーによる〈The Best Of Both World Tour〉のNY公演にゲスト出演した際もマディソン・スクエア・ガーデンの聴衆は大歓待。ニュー・アルバム『R.U.L.E.』のリリースを間近に控え、これは幸先が良さそう!?

 それでもやはり一連のビーフについて、実際彼がどんな心境でいたのか訊かずにはいられないだろう。的確に、言葉を選びながらも真摯に答えるジャ。

「あの当時の俺に関しての報道は全部チェックしてた。これがヒップホップなんだよ、ベイビー。あるスーパースターが現れると、この業界ってのは一度そいつに血を流させるんだ。〈さあ、コイツがここからどうするか見てみるか〉ってね(笑)。人生には競争相手ってのが必要なんだ。モハメッド・アリはジョー・フレイジャーやジョージ・フォアマンの存在なくして〈アリ・ザ・グレイテスト〉とは呼ばれなかったんだ。人生には浮き沈みがあるし、それを理解してるヤツらってのは少ないよ。当時の状況は俺にとっては偉大な存在となるための踏み石だったんだ。それに『Blood In My Eye』だって、あんなタイトルじゃオンナ受けするワケないし(笑)、セールスなんてどうでも良かったんだ。あれはほんの一握りのコアな人間だけに向けて作ったアルバムだったから。あれを買ってくれたヤツらは、俺がフッドに行くと〈イェー、ルール、あいつなんてぶっ殺せ!〉とか言ってくれてた。それこそがあのアルバムの存在意義だったワケだし。フッドを歩く俺にみんなが〈G-G-G-G-G, G Unit!〉とか言うようなことにはなりたくなかったし(笑)」 。

 当然、新作にかける意気込みは尋常ではない。もともと感受性豊かなリリックには定評のあるジャ本人が「これまででいちばん感情のこもったレコード」と言うだけあって、みずからの傷を曝け出した赤裸々なライムが胸を打つ。

「いろいろな感情が入り交じったレコードだから、俺がここ2年くらいに何を感じていたのかってことがすぐわかるはずだな。困難な状況を乗り越えて作るアルバムってのがいちばん良い出来になるんだ。精神的な成長とかいろいろな感情を経験して、それをすべて注ぎ込むことができるからな。メディアにも散々叩かれたし。コンセプトは、〈My Confessions(俺の告白)〉……アッシャーじゃねえけどよ(笑)。タイトル通り自分自身と自分のやっている音楽にだけ焦点を当てたアルバムだ」。

 しかし、一難去ってまた一難。マーダー・インク改めインクは現在、ドラッグ・ディーラーとの取引やマネー・ロンダリングの疑いでFBIの調査を受けている。

「俺たちみたいに、黒人が若くして巨万の富を手に入れると、連中はまず〈何かが怪しい〉って疑ってかかるのさ。いまはラップのビーフなんかよりもリアル・シットを相手にしなきゃいけねえんだ。白髪が生えそうな気分だよ(笑)」。

 12月には来日を控え、さらにはアーヴ・ゴッティと始動させたブランド〈アーヴィン・ジェフリー〉の統括やプロモーションなど今後も予定が目白押しのジャ。

「日本のヤツら、サポートに感謝してるよ。早く日本でサケが飲みてえな。アルバム買ってくれよ!」。

 ジャの堂々の復活に、おちょこで乾杯!

▼『R.U.L.E.』に参加したアーティストの作品を一部紹介

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