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初の2枚組大作をドロップしたナズ

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2004年12月09日 12:00

更新: 2004年12月09日 17:23

ソース: 『bounce』 260号(2004/11/25)

文/高橋 芳朗

BRIDGING THE GAP


 94年の『Illmatic』をリマスタリングした『10 Years Anniversary Illmatic Platinum Series』、そして『Illmatic』から『God's Son』に至るまでの全プロモ・クリップを収録したDVD「Video Anthology Vol.1」をリリースするなど、デビューから10年を経てようやくナズはみずからのキャリアを客観的に振り返る余裕を持ち合わせてきたようだ。それは『God's Son』から2年ぶりとなる新作『Street's Disciple』のタイトルが彼の初レコーディング曲であるメイン・ソース“Live At The BBQ”の冒頭のフレーズから取られていることにも象徴的だろう。

「91年の“Live At The BBQ”は俺が最初にレコーディングした曲だし特別な思い入れがあるんだ。いま聴いても鳥肌が立つっていうか、身震いしたりするよ。ファンにとっても特別な曲であってほしいと思うし、当時のことを思い起こす曲だね。アルバムのタイトルにするくらいだから俺の思い入れの深さも想像がつくだろ?」。

 ナズが新たなステージに突入したことを高らかに告げる『Street's Disciple』は当人いわく「私生活の変化が表れた」内容で、初の試みとなるCD2枚組の超大作だ。

「俺にとってもダブル・アルバムにするということはチャレンジだったんだ。当初の予定では『Illmatic』と同じ9曲にまとめるはずだったんだけど、作ってるうちに言いたいことが出てきてね。ただ新しいアルバムをリリースするんじゃなくて、ちゃんとストーリー性を持たせたかったんだ。その結果として曲の数が増えてダブル・アルバムにしようってことになったのさ」。

 アルバムのメイン・プロデュースを務めるのは3作連続での参加となるサラーム・レミ。彼は共作も含めると計12曲で指揮を執っていて、ナズとのパートナーシップはここにきてさらに強固なものになってきたようだ。

「サラーム・レミは器がデカいし凄く才能がある。いっしょにやることによってお互いが伸びるというか、相乗効果みたいなものがあるんだ。彼からはいろいろと学んだよ」。

 アルバムからの先行シングルはそのサラーム・レミがプロデュースを手掛けた“Thief's Theme”。インクレディブル・ボンゴ・バンドの“In A Gadda Da Vida”をサンプリングした中毒性の高いトラックが印象的だ。

「これは比喩なんだ。〈thief〉(泥棒)っていうのはもちろんストリートで強盗するような奴もいるし、政治的な意味での盗み――例えばレコード会社とかもそのなかに含まれる。あてはまる奴はたくさんいるんだよ」。

 その他、アルバムのプロデュースにはチャッキー・トンプソンやL.E.S.といった常連組をはじめ、“One Love”以来の顔合わせとなるQ・ティップ、意外にも初共演となるディギン・イン・ザ・クレイツのバックワイルドらが参加。ゲストはセカンド・カットの“Bridging The Gap”など2曲で久々のコラボレイトが実現した実父オル・ダラを筆頭に、ケリス、バスタ・ライムズ、リュダクリス、ダグE・フレッシュ、マックスウェルらが名を連ねている。また、今回は前作以上にサンプリングを用いたサウンド・プロダクションが多く、しかもバリー・ホワイト“I'm Gonna Make You Love Me Just A Little Bit More”、ジョージ・クリントン“Atomic Dog”、アイザック・ヘイズ“Ike's Mood”といった定番ネタ曲が衒いなく繰り出されていたりと、こうした作風がアルバム全体のカラーを決定付けることになりそうだ。

「今回は『Illmatic』を彷彿とさせるような曲もやってるよ。でも、いまの俺が最初のアルバムをそのまま再現するのは不可能なんだ。俺自身変わってきてるんだから成長に伴って音楽も進化していくのは当然だろ? オーディエンスが新しいラッパーを聴きたいという気持ちは凄くわかるし、俺だって若いラッパーの音楽を聴いてる。時代の波には逆らえないんだ。きっと俺のファンは俺と同じ速度で成長してるからついて来れるんだろうな」。

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