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特集

ESSENTIALS――70年代のモータウン(3)

BLOODSTONE 『Don't Stop』 Motown/ユニバーサル(1978)

  カンザスシティ発のヴォーカル&インスト・グループ。これはモータウンでの唯一のアルバムで、心地よいミッド・テンポの表題曲など、西海岸の腕利きミュージシャンを従えて瑞々しいヴォーカルを聴かせる快作だ。ヒット曲のない地味作だったが、昨年、“I'm Just Doing My Job”がカニエ・ウェスト制作のT.I.“Doin' My Job”で激メロディアスに早回しされたことで、旬な一枚に!?(林)

MARVIN GAYE 『In Our Lifetime』 Tamla(1981)


  もともと『Loveman』の名で出される予定だったものをモータウン側が勝手にリリースした問題作で、マーヴィンにとってのモータウンでの最終作。“Funk Me”“Heavy Love Affair”など感情を露わにした微妙に重い雰囲気は神と悪魔が向き合うジャケ(後にダズ・ディリンジャーが引用)さながら。翌年に革新的な『Midnight Love』で大復活を遂げることもあって低く見られがちだが、彼らしさが十分漲った佳作だ。(出嶌)

STYLUS 『The Best Kept Secret』 OZ/ヴィヴィド(1978)

  AOR的な文脈からも支持の高いオーストラリア出身のブルー・アイド・ソウル・バンド。その黒い音楽性が評価されてか、通算3作目となる本作はモータウンからUSリリースされている(掲載ジャケはオリジナルの豪州盤)。アヴェレージ・ホワイト・バンドなどに通じる小気味よいファンク・チューンをはじめ、爽快なグルーヴィー・ソウル満載の作品ながらセールス的に振るわなかったのが惜しまれる。(林)

LIONEL RICHIE 『Lionel Richie』 Motown(1982)

  80年代を代表するシンガー・ソングライター、ライオネル・リッチーのソロ・デビュー作。ここからは“Truly”などがヒットを記録。後の成功と比べればまだまだ助走段階だが、コモドアーズ時代から見せていたカントリー・テイストも滲む素朴な作曲センスはまるで鼻歌のようにナチュラル。現在も衰えぬ大御所ぶりを発揮する一方で、今後は〈ニコールのパパ〉と呼ばれる機会がもっと増えそう?(出嶌)

CUBA GOODING 『The 1st Cuba Gooding Album』 Motown/CELESTE(1978)

  メイン・インディグリーディエントの主役の座を離れ、ソロとして彼が契約した先はモータウンだった。これは2枚あるアルバムのうちのデビュー・アルバム。時代を反映してディスコ的な色彩を持つ作品も少なくないが、どんな作風に直面しても彼の独特な歌声にかかると安易な流行追随作と思わせないところが凄い。メロウな作りの曲にも駄作は皆無。これぞ隠れた名盤である。(JAM)

DEBARGE 『Love Me In A Special Way』 Motown/ユニバーサル(1983)

  〈80年代のジャクソン5〉を目されて登場した兄弟グループ、デバージ。この3作目には、アシャンティ“Foolish”にリサイクルされた“Stay With Me”、キャムロン“Tomorrow”で使われた表題曲、2パック“I Ain't Mad At Cha”で有名な“A Dream”など珠玉のアーバン・グルーヴが大盛り。線の細さを逆に活かしたエルの青いヴォーカルも甘いメロディーにもっと甘い蜜を注ぐかのよう。名作だ。(出嶌)

DIANA ROSS 『The Boss』 Motown(1979)

  ソロ転向後も多様なスタイルを着こなし、女王の座をキープし続けたダイアナ。作品的な風格の面では翌年の『Diana』に軍配が上がるだろうが、アシュフォード&シンプソン制作によるこのシグマ・スタジオ録音作も決してそれに劣らぬ華やぎがある。ティミー・レジスフォード(80年代末にはモータウンでA&Rを務めた)ら多くのDJにいまも愛される“The Boss”は圧巻のガラージ・アンセムとして歴史に残る名曲。(出嶌)

DENNIS EDWARDS 『The Essential Collection』 Spectrum 

  コントゥアーズ~テンプテーションズと渡り歩き、84年にソロ転向したデニス。今作はゴーディに残した2枚のアルバムを網羅した編集盤。エリックB&ラキム“Paid In Full”のコールドカット・リミックスや2パック“Hit 'Em Up”に不穏なベース・ラインがネタ使いされた定番ネタ“Don't Look Any Further”が最重要だが、他のプリンス風ファンクなどでも野性味溢れるヴォーカルは存分に楽しめる。(出嶌)

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2004年12月02日 13:00

更新: 2004年12月02日 16:57

ソース: 『bounce』 260号(2004/11/25)

文/JAM、出嶌 孝次、林 剛

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