モータウンはポップス・カヴァーがお好き!?
モータウンが掲げていたキャッチフレーズ〈Sound Of Young America〉に留意すれば、そもそもリスナー対象を黒人層に絞っていなかった彼らの姿勢がわかるが、そんな理由もあって60年代のモータウン作品は白人向けのポップス・カヴァーを数多くのアルバムに忍ばせていた。
なかでも多く取り上げられたのがビートルズ、フランク・シナトラ、そしてバート・バカラック曲であり、現在ではそれぞれが1枚ずつのコンピに編集されているので、トリビュート盤的な楽しみ方も可能だろう。ミラクルズの“Something”が絶品なビートルズ盤、マーヴィン・ゲイの憧れが粋に爆発したシナトラ盤、ダイアナ・ロスの“Close To You”がハマり過ぎのバカラック盤……どれも素晴らしい。
ちなみに同種の企画では、ボイス&ハートの楽曲を集めたものもリリースされている。もちろんこの手の試みが容易に実現され得たのは、リズム&ブルース~ソウルに留まらない素養を持ったアレンジャーや演奏者をモータウンが抱えていたことの証明でもあるのだが。
ビートルズのカヴァー曲を集めた『Motown Meets The Beatles』(Motown)
フランク・シナトラのカヴァー曲を集めた『Motown Celebrates Sinatra』(Motown)
- 前の記事: 英国紳士はモータウンがお好き!?
- 次の記事: ESSENTIALS――60年代のモータウン