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特集

KRUSHサウンドのなかで静かに燃えるジャズの魂 KRUSH vs. JAZZ

カテゴリ : ピープルツリー

掲載: 2004年11月18日 14:00

更新: 2004年11月22日 12:48

ソース: 『bounce』 259号(2004/10/25)

文/原 雅明

 DJ KRUSHがデビュー・アルバム『KRUSH』をリリースした当時、世の中はアシッド・ジャズ・ブームであって、その流れに乗って、このアルバムもロンドンにまで流れ着き、ジェイムス・ラヴェルの耳にも入り、そしてモ・ワックスからあの傑作アルバム『Strictly Turntablized』がリリースされた。なんてストーリーを聞くと、いかにもクラバーなジャズと近しいように思われるが、KRUSHが当時も、そしてその後も真摯に相対してきたジャズは、よくサンプリングのネタになるキャッチャーなジャズとは別物だった。極端にピッチを落としたウッドベースの弦の軋みや、不協和音を奏でるピアノの残響や、ブロウしまくったサックスの余韻……。

KRUSHが好み、徹底的に取り込んできたのはそんなジャズの欠片ばかりだ。現在ではそんな欠片にこそジャズの魂は宿っているものなのだ、とKRUSHのサウンドは淡々と、しかし確信をもって示してきた。また、JAZZY UPPER CUTでDJのプレイヤーとしての可能性を意識して以来、KRUSHのDJには常にプレイヤー的なストイシズムが漂ってもいた。ターンテーブルと打ち込みがモード・ジャズ的な進化を遂げたDJシャドウとの“DUALITY”(『迷走』に収録)、ジャズ的な邂逅そのものであるインプロヴァイザーの近藤等則とのジョイント・アルバム『記憶 KI-OKU』、マイルス・デイヴィスを誰よりもシャープにリミックスしてみせた『Panthalassa : The Remixes』など、KRUSHが残してきた録音にはジャズの空気感が残されているが、それはもはやKRUSHにとってのジャズそのものと言っても何ら差し支えがないだろう。

▼KRUSHとジャズの繋がりを象徴する作品


96年にリリースされたKRUSHと近藤等則の共演盤『記憶 KI-OKU』(ソニー)


KRUSHのリミックスを収録したブルー・ノート60周年の記念コンピ『blue -60th ANNIVERSARY OF BLUE NOTE -deejays cools cuts』(東芝EMI)

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